それでも特に問題は無く仕事ができた。むしろ、毎日のようにかけてくる人もいたくらいだった。そうしたリピーターの存在は、仕事へのやりがいにもつながった。しかし、在籍期間が長くなるほど、相談者に占いができないことを隠し続ける罪悪感がふくらんでいったという。担当者に占いのスキルがないことについて相談をしたこともあったが「気にしなくて大丈夫ですよ」と一蹴された。独学で勉強をしようとも試みたが、占いに関する通信講座はあまりに高額で断念した。

「正直、月収3万円プレーヤーには厳しい金額でした」

 占いができない罪悪感を抱えたまま、相談という名の愚痴を延々と聞き続けるだけの日々……。人に寄り添う仕事がしたかったのに、まるで違う状況になっていることに耐えきれなくなった美代さんは、担当者に辞める旨を伝えた。デビューからわずか半年後だった。

 借りていた物品を返却するなどの事務作業が終わると、プロフィル情報はあっという間に消された。もちろん相談者に辞めることは伝えられないままだった。

「今でも、あの時の相談者さんは何をしているかな、大丈夫かなって思い返すことはあります。正直、最初は楽な仕事だと思って応募したところもあります。でも実際はかなりメンタルを消耗する大変なお仕事で、中途半端な気持ちでやってはいけないと感じました。ただ、憧れの仕事に携われてうれしかったことも事実です。だからこそ、頑張って再スタートしたいと思っています」

 今度は胸を張って占い師と言えるように、現在は独学で占いを学び、心理学を勉強し直しているという。

 もちろん、全ての電話占い師が美代さんのような“ド素人”ではない。電話占いサイトを利用する際は、口コミなどをよくチェックして、自分の目で占い師をよく見極めてほしい。(取材・文=吉田みく)