また、カメラの真正面から顔を映すと、相手に威圧感を与える可能性もあります。なので、配慮ができる人は、カメラを斜め上に置くなどの工夫をしています。冷静に考えると、対面であっても、お互いの顔を真正面から見続けることって少ないですよね。メモを取ったり、資料を読んだりしている。解像度が低い人は、3次元で自然にできていたことが2次元では表現できず、疲れ果ててしまうんです。


 なお、私のような大学教員は今、リモート授業に追われていますが、彼らの多くが「zoomに映る自分の顔に耐えられない」と言います。一方、学生であるデジタル世代を見ていると、うまく写るための撮影角度や表情を心得ているなと感心することが多いです。

「オンラインでできること」を軸にしていく

解像度が低い人のコミュニケーションパターンの例としては、ほかにも、コミュニケーションツールのSlackで「お世話になっております」といったあいさつ文を長々と書いてしまうことが挙げられます。
オンラインにおいては、要点をわかりやすく伝えられる人のほうが、業務効率が上がっていると思われます。でも、対面で何となく相手の出方を見るスタイルの仕事をしていた人は、リモートワークがやりづらいはず。そして対面の時の達成度を基準にするから、それと比べてできないことについ目が行ってしまう。でも、私が教えている大学の学生たちは「オンライン授業なんだから、オンラインでできることをやるしかない」と最初から割り切っているように見えます。

コミュニケーションの「遊びの部分」を意識してみる

リモートワークにおいては、効率化を重視しすぎないことがポイントではないでしょうか。というのもオフィスで仕事をしている時だって、皆でお茶を飲みながら雑談したり、お昼ご飯を食べたり、間接的に仕事の効率化に役立つコミュニケーションがあったはずなんです。でも、リモートワークだとそういった“遊びの部分”がこぼれ落ちやすい。だから今回、リモートで皆、一緒にワークショップを見たり、ゲームしながらチャットをしたりしていますよね。この部分を補うことで、人間関係がより活発になり、結果として仕事も進めやすくなるはずです。

今後、ポストコロナにおける新しい生活様式においては、オンラインコミュニケーションの解像度を上げて、どうしても対面でないと達成できないことと、オンラインでも達成できることを、しっかり理解して、仕事を進めていくということが求められると思います。そうでないと若い人がついてこないでしょうね。
                     (構成:カスタム出版部)