検察内では、検事総長と検事長は相当な力を持っています。捜査においても、両名の同意がないと検察官は動けないのです。もし今回の法案が通って検察が政権に忖度をしてしまう事態になっても、表面的には「内閣を刺激するからだめだ」という言い方は絶対にしないでしょう。それでは、身内の検察官も反発しますからね。だから表向きには、「証拠的に不足がある」といった言い方をする。言われた方も、「それなら仕方ないな」ととらえて、表面化しない。水面下での動き方が変わってくるわけです。

 定年を延長するのであれば、内閣の意向が介入しないよう、一律延長にしてしまえばいい。検事総長は65歳から67歳に。検事長は63歳から65歳に。一律2年延長で、あとはいじらないのがベストだと思います。

 今回の法案を考えた人は、検察の内情をまったくわかっていない。そういう意味で、国民から批判の声が上がったのはいいことだと思います。ただ、国民にとっても検察の内情はわかりづらいので、議論がややこしくなっているのだと思います。
(構成=AERAdot.編集部・飯塚大和)