■列車に追随するケースも

 もうひとつ、列車愛称が決まったあと、四股名(しこな)として追随するパターンもある。その名は石川県七尾市出身の幕内力士、輝(かがやき)。2014年秋場所後の番付編成会議で十両昇進が決まり、四股名を本名の達(たつ)から輝に改めた。北陸新幹線最速列車の愛称に決まっていた「かがやき」にちなんだもので、師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)が命名した。

 列車の「かがやき」は1988年3月13日のダイヤ改正で、金沢~長岡間を北陸・信越本線経由で結ぶ在来線速達特急としてデビュー。長岡で上越新幹線「あさひ」に接続することで、上野~金沢間の速達化という役割を担った。6年後の1994年6月1日、輝が生まれた。

 1997年3月22日のダイヤ改正で、特急「かがやき」は速達特急の座を特急「はくたか」(主に越後湯沢~金沢間を北越急行ほくほく線経由で結ぶ)に譲り、一旦廃止されたが、2015年3月14日に北陸新幹線として装い新たに復活。「はくたか」とともに同じステージに立つ。

 なお、国鉄・JRを通じ、「あさしお」(元大関朝潮の高砂親方)、「あけぼの」(第64代横綱曙)、「きらめき」(煌という朝日山部屋所属の現役序二段力士)という、四股名と同じ愛称の特急列車があるが、関連性はない。

 新型コロナウイルスが1日も早く終息し、本場所の熱戦、観客の大歓声が見られることを切に願う。
 
 高田川部屋所属の三段目力士の勝武士(しょうぶし)さんが新型コロナウィルスから多臓器不全のため急逝されました。謹んでお悔やみ申し上げます。(文・岸田法眼)

岸田法眼(きしだ・ほうがん)/『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『論座』(朝日新聞社刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)。