例年ならGWで賑わう東海道新幹線の東京駅ホームも、コロナ禍のもと、4月25日の乗降客はまばらだった(C)朝日新聞社
例年ならGWで賑わう東海道新幹線の東京駅ホームも、コロナ禍のもと、4月25日の乗降客はまばらだった(C)朝日新聞社
2014年4月26日の東京駅ホームは、新幹線に乗降する家族連れや外国人の姿も見られる(C)朝日新聞社
2014年4月26日の東京駅ホームは、新幹線に乗降する家族連れや外国人の姿も見られる(C)朝日新聞社

 5月4日、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした緊急事態宣言の延長が正式に決定。鉄道各社はさらなるかつてない苦境に立たされている。特に新幹線や特急列車を運転・営業するJR各社は壊滅的な打撃を受けており、乗車率の低迷ぶりは各種報道でも発信されている。これまでは主に混雑ぶりを示す指標として用いられて乗車率だが、その数字の意味するところは?ここでは、改めて鉄道の乗車率について考察してみたい。

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■GWになんと0%の数字も聞かれた乗車率

 首都圏一都三県の知事が4月25日から5月6日を「命を守るステイホーム週間」と位置付けたこともあり、「不要不急の移動」の自粛の流れはさらに拡大。

 ゴールデンウィーク期間中の初の休日となった4月29日(昭和の日)、東海道新幹線の乗車率は軒並み10%以下を記録、東北新幹線や北陸新幹線では乗車率0%の列車も出現している。在来線特急も多くの列車が乗車率10%以下を記録するなど、例年では考えられない衝撃的な数字が報道された。

 通常は100%を超えるような数値が繁忙期の混雑ぶりを示す指標として用いられる乗車率だが、乗車数の減少ぶりを周知することに用いられること自体異例で、今回のコロナ禍の社会的な深刻さが改めて浮き彫りとなった形だ。

「輸送人員÷輸送力」で算出される乗車率は、列車(車両)の“定員”に対して利用した乗客が何パーセントであるかを示す。算出は熟練した鉄道会社のスタッフが目視で行うのが原則となっているが、算出方法の詳細を非公表としている鉄道会社も少なくない。

 台車で車体の荷重を計測する技術は古くから確立しており、1両の総荷重を平均的な体重で割ることによっておおよその乗車人数を割り出すことは可能である。JR東日本はこの技術を活用して自社のアプリで山手線の混雑度(5段階)をリアルタイムで更新している。

 だが、各列車に乗車する男女比、年齢層などは曜日や時間帯による変動も大きく、平均的な体重で割る方法にも限界はある。今後さらなる精度向上に期待したいところだ。

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全車指定席の列車は混雑率の発表の対象外