いろいろなジャンルにおいて、「最も〇〇!」というのは気になるものである。鉄道では、その一つとして日本の東西南北の端にある駅というものがある。しかし、面白いことに日本の「最西端」を名乗る駅はなんと3つもある!「西」はひとつしかないのに、いったいどうして?
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■正真正銘の「日本最西端の駅」ゆいレール・那覇空港駅
現在、「日本最西端の駅」の座に就いたのが、2003年8月10日に開業したゆいレール(沖縄都市モノレール)の起点、那覇空港駅である。東経127度39分8秒、北緯26度12分23秒に位置する。那覇空港は“琉球の玄関口”なので、コロナが終息すれば世界中の人々が集まり活気が戻るだろう。
また、ローカル線ではないので、最端の駅らしからぬ「気軽に立ち寄れる」のがウリといえよう。駅構内にささやかなモニュメントが飾られており、“歴史的な駅”の風情を感じ取れる。
かつて、沖縄県には県営鉄道が48キロの路線網を張り巡らしていたが、太平洋戦争で破壊され、1945年に廃止を余儀なくされた。以来、ゆいレールとして58年ぶりに鉄道が復活し、後述する日本最南端の駅ともども、“最果ての駅”がよみがえったのである。
ちなみに、日本最西端の地は沖縄県の与那国島である。
■本家「日本最西端の駅」松浦鉄道・たびら平戸口駅
ゆいレール開業前まで、“公式記録”としての「日本最西端の駅」は、松浦鉄道西九州線のたびら平戸口駅だ。東経129度35分、北緯33度21分に位置する。国鉄の前身、鉄道省時代の1935年8月6日に伊万里線(のちの松浦線)志佐(現・松浦)~平戸口(現・たびら平戸口)間の延伸により開業。のちに、駅舎付近に記念碑が建立された。
1987年4月1日、国鉄の分割民営化でJR九州の管轄となり、1988年4月1日から第三セクターの松浦鉄道に転換された。すなわち、国鉄・JR以外では初めて、私鉄が“最果ての駅”の座をつかんだのである。
ゆいレール開業後も、たびら平戸口駅は「日本最西端の駅」をPRし続けており、「2条のレールを敷いている日本最西端の駅」、「非電化路線では日本最西端の駅」という見方もできる。また、2015年5月11日に「日本最西端の駅」がサブ駅名となった。
現在も「日本最西端の駅訪問証明書」(一部200円)、硬券入場券(1枚160円)が販売されているほか、駅舎内に“元祖”鉄道博物館(入館無料)があり、写真、資料、実際に掲出された駅名看板などが展示されている。駅自体、れっきとした観光地といえるだろう。