智辯和歌山の監督を務めていた当時の高嶋仁氏 (c)朝日新聞社
智辯和歌山の監督を務めていた当時の高嶋仁氏 (c)朝日新聞社

 2019年夏の甲子園終了時点で監督の甲子園通算勝利数をランキングにするとトップ10は以下のような顔ぶれとなっている。

【写真】甲子園のヒーロー広島・中村奨成の今は?

1位:高嶋仁(智弁学園→智弁和歌山):68勝
2位:中村順司(PL学園):58勝
3位:西谷浩一(大阪桐蔭):55勝
4位:渡辺元智(横浜):51勝
4位:前田三夫(帝京):51勝
4位:馬淵史郎(明徳義塾):51勝
7位:木内幸男(取手二→常総学院):40勝
8位:阪口慶三(東邦→大垣日大):38勝
9位:蔦文也(池田):37勝
9位:小倉全由(関東一→日大三):37勝

 このように一人の監督が多くの勝利数を積み重ねるようになっていったのは1970年代の後半からだ。惜しくもトップ10からは陥落したが、尾藤公(箕島)は1979年に当時史上3校目となる春夏連覇を達成するなど35勝をマーク。次に甲子園を席捲したのは蔦が率いる池田のパワー野球だ。それまでの細かい野球を強力打線で粉砕し、1982年夏、1983年春と夏春連覇を達成した。その池田をKKコンビで破りPL学園の黄金時代を築いた中村は1980年夏から1998年春までという短い期間ながら58勝をマークし、高嶋に破られるまで長く1位に君臨していた。

 上記の10人のうち、現在も監督を務めているのは西谷、前田、馬淵、阪口、小倉の5人である。そして年齢を考えても、高嶋を抜いてトップの立つ可能性が高いのが西谷だ。2012年、2018年と史上初となる二度の春夏連覇を達成するなど、まさに2010年代は大阪桐蔭の時代だったといっても過言ではないだろう。甲子園優勝回数7回、通算勝率.859は中村を抜いて現時点で歴代1位である。今年で51歳と指導者としてはまだまだ長く指揮を執ることが可能な年齢であり、史上初となる100勝超えにも期待がかかる。そして、現在の高校野球界で活躍しているのがこの西谷と同学年の昭和44年度生まれの指導者たちだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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今後、上位に食い込んできそうな監督は?