西谷の他にも門馬敬治(東海大相模・通算25勝)、吉田洸二(清峰→山梨学院・通算15勝)、岩井隆(花咲徳栄・通算15勝)の三人が甲子園で優勝を果たしている。大阪桐蔭を含めた4校が今年の選抜に選ばれていることにも勢いを感じる。また学年は一つ下の仲井宗基(八戸学院光星・通算23勝)も甲子園優勝こそないものの、2011年夏からは3季連続で甲子園準優勝と見事な成績を残している。この4人については近い将来、トップ10に食い込んでくる可能性は十分にあるだろう。

 更に若い30代のトップランナーと言えるのが小針崇宏(作新学院・通算19勝)だ。23歳の若さで名門の監督に就任すると、2011年からは9年連続で夏の甲子園に出場。2016年夏には今井達也(西武)を擁して、チームを54年ぶりの優勝に導いている。小針の指導する作新学院の戦い方の特徴は、積極的な攻撃にある。無死一塁の場面では基本的に送りバントという選択肢をとらず、強攻策でチャンスを広げるのだ。小針が就任してから野手でプロ入りした選手は松崎啄也(元巨人)と石井一成(日本ハム)だけで、超高校級のスラッガーを輩出しているわけではないが、上位から下位までしっかりと強く振り切れる選手が揃い、毎年切れ目のない打線を作り上げてくるのは見事だ。またベンチ入りのほぼ全員が栃木出身の選手で戦っているのも地元での人気の高さに繋がっている。今年で37歳という若さだけに、今後は西谷を追う筆頭候補と言えるだろう。

 小針と同学年の監督で、今後勝ち星を伸ばしそうなのが須江航(仙台育英・通算3勝)。一昨年の1月に監督に就任すると、その夏に早くも甲子園に出場。昨年夏は早くも準々決勝進出を果たし、秋には東北大会を制して選抜出場も決めた。攻撃面では積極的な走塁をしかけ、守備では複数の投手と捕手を起用するスタイルは現代の野球にマッチしている。小針のライバルとして今後台頭してくる可能性は高い。

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勝利だけで測れない監督の価値も