今回は、世界経済にも影響を及ぼしているCOVID-19(新型コロナウイルス)とYoutubeについてです。YouTubeの専門家として、大きく2つの面についてお話します。

一つは、YouTubeが、新型コロナウイルスを取り扱った動画の広告を規制すると発表したことです。ガイドライン内の「物議を醸す問題やデリケートな事象」に該当すると判断したためです。YouTubeがガイドラインについて、このように具体的な発表をするのは異例のことです。

 YouTube上には新型コロナウイルスに関する多くの動画が投稿されています。専門家が正しい知識を発信している動画もありますし、再生されやすい話題だからトレンドとして扱っている動画もあります。

 この全ての情報についてYouTubeが精査することは難しいので、広告の対象外としたのです。情報過多となり情報の精度が落ちる現象は、YouTubeだけでなくネット社会の問題の一つです。ウェブサイトやブログやTwitterなどでも、デマや間違った情報が拡散される事態は多々あります。

 3年ほど前に、専門知識のない人が適切ではない応急処置や病気への対処法の記事を書いた医療サイト「WELQ」が問題となりました。

 具体的には、「火傷は流水かぬれタオルで冷やしましょう」という記事に従い、ぬれタオルで冷やしたところ、火傷した皮膚がタオルにくっつき剥がれた事態などが挙げられます。

 このような間違った記事が、複数のジャンルで検索結果の上位を取っていました。情報へのアプローチがしやすかったために、被害は拡大し、問題は大きくなりました。

 ネット社会では、多くの人が情報を検索して手に入れます。読者の皆さんも、分からないことや解決したいことがあったら、インターネットで検索すると思います。

 今回の新型コロナウイルスについても、「感染予防策」や「対処法」や「治療法」などを検索された方が多いのではないでしょうか。検索結果が正しい情報であるかどうか、精査するのは読み手に委ねられています。

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