それまで使っていた巨大な物干しピンチも不要になり、一番小さなものに買い換えました。

 さらに水道の使用量も大幅に減りました。

 つまりですね、冷蔵庫と同様、あった時よりも、ないほうが「良いことずくめ」だったのです。

 もちろん、これは万人にとってそうとは限りません。

 小さいお子さんや、介護が必要なお年寄りのいる家庭などでは「洗濯機がなきゃやっていけない」という方もおられることでしょう。しかし万人にとって洗濯機が「必需品」かというと、どうも違うんじゃないかと考えざるをえませんでした。

 必需か、必需じゃないか、それは自分が決めて良いのです。

 そう気づいた時、私はなんとも言えない自由な気持ちが湧き上がってくるのを抑えることができませんでした。

 こうして一つ一つの家電製品をあげていったらきりがないので、もうこれくらいにしておきます。しかし結論を言うと、少なくとも私にとって、「必需」である家電製品は、実はほとんどなかったということがわかったのです。

 結局のところ、最終的に我が家に残った家電製品は四つ。

 電灯。
 ラジオ。
 パソコンと携帯電話。

 いずれも、ごくわずかな電気で動くものばかりです。

 そして、これらは電気というエネルギーがあって初めて動くものたちです。

 パソコンを火で動かすことはできません。だから電気は大切なのです。

 これまで以上に「電気さん」に深く感謝しながら生活をしています。

 電気代は月200円を切りました。

 もう電池でもやっていけると思いますが、電池がゴミになるのが嫌なのでそうしていないというだけのことです。

 それでも生活が不便になったわけでも、家事に時間がかかるわけでもありません。

 全く「どうということもなく」暮らしています。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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