占星術の世界では、2020年は約200年に一度訪れる星の動きがあり、物質主義の限界を突破し、新たな価値観が築かれる、とみる。今の世の中の流れ、星の動きとの関連を熟知する心理占星術研究家の鏡リュウジさんと、ライターの石井ゆかりさんが、新時代の占いとの付き合い方について語り合った。「AERA占いMOOK占いで閉塞感を打ち破る あなたの運命2020」に掲載された記事を紹介。

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──2020年の星の動きで、これまで約200年続いていた物質至上主義の価値観が終わり、情報やコミュニケーションを象徴とする星が世界を支配する。情報が力をコントロールし、新たな価値観がもたらされていく新時代に、私たちが実感できる“幸せ”とは、どうなっていくのか……。

鏡:以前、違う雑誌の対談でも、石井さんと幸せについて語りましたね。

石井:難しいテーマですね(笑)。みんな、“本当の幸せ”、“本当の自分”を求めている。それがいつか見つかると思っているんです。どこかにあるはずって思っていられるから、幸せでいられる。

鏡:そうですね。今の自分とは違う可能性を信じていられる……。

石井:以前の対談では、幸せは和語では“仕合わせる”からきていて、昔は「仕合わせがいい」とか「仕合わせが悪い」という風に使っていた、ということをお話ししたような……。

鏡:そうそう。幸せは巡り合わせがいいかどうかなんですよ。幸せや喜びというのは、苦労や試練、困難などを乗り越えた後に起こる、一過性のもの。だから、幸も不幸も巡り合わせで、永続的な幸せはあり得ないんです。幸運な、という意味のfortuneはfortunaという運命の女神から来た言葉ですが、彼女はとても気まぐれな女神。幸せをコントロールすることは誰にもできません。

石井:自分でコントロールできることばかりではないのに、現代社会では、多くのことを自分で選択しなければなりません。その責任を負い、運命まで自分で見つけなくてはいけないなんて大変なこと。何もかも自分のせいだと思い込んでしまう人も、少なくありません。そこで、少しだけ息を抜けるのが占いの存在なのかと思います。占いで些細なことでも当たると、嬉しいですよね。「今日はその通りだった」って。第三者からしたら「だから?」という話なんですけど。それは、自分が何かとつながっている、と思える瞬間。自分が世界の中にいて、放り出されていないという感覚を味わえます。

鏡:宇宙の秩序の中に、自分も入っているという感覚ですね。でも、占いが「当たる」って面白い表現ですよね。「当てる」でも「当てられる」でもない。主客が存在しない表現。

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