ソフトバンクの工藤公康監督(C)朝日新聞社
ソフトバンクの工藤公康監督(C)朝日新聞社

 この1年、期待通り、あるいは期待以上の成果を残した球団や、今後につながるチームづくりが進んだ球団もあれば、収穫の乏しいシーズンを送ってしまった球団もある。その背景には選手の好不調、思わぬアクシデントや運といった要素もあるが、指揮官の力量による部分もある。そこで今年1年を振り返り、全12球団監督の働きぶりを査定したい。今回はパ・リーグ編だ。

辻発彦監督(西武) 評価:A

 菊池雄星(マリナーズ)、浅村栄斗(楽天)、炭谷銀仁朗(巨人)といった主力の移籍があったにも関わらず、2年続けてペナントを制した。これといった補強もなかったのに、である。

 中盤までは打線が機能しきれないところもあったが、3番に森友哉を据えてから、打線がつながる形を見つけ出して最後まで駆け抜けたのは見事だった。

 投手陣は、今井達也、高橋光成といった将来の主軸になる投手を我慢して起用し続けた。そういった空気が本田圭佑や松本航のような投手の台頭も生み出した。今季というよりも、先につながっただろう

 一方、リリーバーの平井克典の登板過多やフレキシブルな起用法という点では課題も残った。平井の9月の防御率は9点台。活躍してほしいシーズン終盤で、彼を生かせなかったのは、投手のマネジメントのまずさといっていい。来季はその点をどう改善できるか。

工藤公康監督(ソフトバンク) 評価:A

 昨年に引き続いてリーグは2位ながら日本一に導いた。

 優勝を逃したという点においては、その手腕を疑問視する人がいるかもしれないが、その後の適材適所の選手の起用法には工藤監督の戦術眼の高さを感じずにはいられなかった。

「選手層が厚い」と言われるが、ただ人の多さだけで勝ち切ってきたわけではない。その選手層をどのようにして生かしていくかが、工藤監督はその見極めに長けている。試合展開をどう読み、先手を取るのか。機先を制する戦いを常に目指している。

 日本シリーズでは、セ・リーグ覇者の巨人を全く寄せ付けなかった。ポストシーズン10連勝でのシーズンフィニッシュは、評価されてしかるべきだろう。

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楽天をAクラスに導いた平石監督の手腕は?