1930年8月30日、常磐線をオーバークロスする線路切り換えにより、船橋方面のホームが移転され、晴れて清水公園~柏間と線路がつながった。そして、清水公園~粕壁間は1930年10月1日に開業し、ついに全通。同区間は当初から直流電化された。

 総武鉄道は戦時輸送力の強化を図るべく、国策に順応する形で1943年12月10日、東武との合併を決定した。東武は臨時株主総会の承認、監督官庁の認可を経て、1944年3月1日から現在の野田線として再出発。1947年3月1日には柏~船橋間の直流電化により、全線の電化が完成した。

 当初は全線単線だったが、1957年9月25日の北大宮~大宮間を皮切りに複線化を段階的に進め、2019年10月時点、単線区間は春日部~運河間、逆井~高柳間のみ。後者は2020年春に複線化される予定である。

 1985年3月14日のダイヤ改正で貨物列車が廃止され、旅客列車のみの路線となる。2014年4月1日から「東武アーバンパークライン」という路線愛称が導入されたが、現在も正式路線名の「野田線」と呼ぶ人が多い。

 2016年3月26日の野田線ダイヤ改正で、急行が登場。大宮~柏・船橋間に運転されているが、急行運転区間は大宮~春日部間のみ。春日部以遠は各駅に停車する。そして、2020年春のダイヤ改正で急行運転区間が拡大され、特に柏~船橋間は単線区間の解消により、充実したダイヤになる模様だ。

■野田線を走った優等列車

 東武本線(東上線、越生線を除く各線の総称)の急行が急行券を必要とする優等列車だったころ、1969年9月27日に臨時急行「きりふり」が大宮~東武日光間、臨時急行「りゅうおう」が大宮~鬼怒川温泉間で運転された。東武の優等列車のなかで「都内を走らない」、「途中駅(春日部)で進行方向が変わる」という、ある意味画期的な列車だったが、1972年11月11日をもって終了した。

 そして、特急形電車が野田線に初入線したのは1990年。大宮市(現・さいたま市大宮区)の市制施行50周年を記念し、1720系デラックスロマンスカーを使った団体専用列車「東武ロマンスカー大宮始発市民号」が初めてである。往路の8月29日は大宮~東武日光間、復路の8月30日は鬼怒川温泉~大宮間を走行した。

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好評を博した臨時特急「きりふり267号」