この特急「リバティ」には、鬼怒川線の下今市以北(下今市~会津田島・東武日光間)の利用に限り、乗車券のみで空席に乗車できる特例がある(新藤原~会津田島間は野岩鉄道・会津鉄道)。これは、本数が少ない区間の普通列車を補う役割を持たせているため。下今市以南をまたぐ場合は特急としての利用とみなされ、乗車全区間の特急券が必要になる。なお、同区間内にあっても特急「スペーシア」と特急「きりふり」には特例が適用されないので注意が必要だ。  

 また、「リバティ」は伊勢崎・野田線の特急「アーバンクライナー」「スカイツリーライナー」(浅草~大宮・野田市、大宮~運河)でも運用されているが、こちらでも浅草発列車のせんげん台以遠と、大宮発列車の春日部以遠は乗車券のみで乗車できる。

 東武鉄道では、ほかにも各特急列車の上りに限り、とうきょうスカイツリー~浅草間を特急券なしで乗車できる特例があり、駅でもアナウンスがされる。わずか1駅の短い区間だが、看板列車の「スペーシア」にも乗車することができる。急カーブの浅草駅に入線するためスピードは遅いが、あまりの快適さに「もっとゆっくり進んで!」と心の中で叫びたくなるような魅力がある。

■「観光特急」も乗車券のみで乗れる!?  

 富士急行の「フジサン特急」と「富士山ビュー特急」の自由席車両は、河口湖~富士山間のみの乗車に限り、特急券なしで利用可能な特急となっている。 「フジサン特急」は小田急ロマンスカーの20000形RSEを改造した車両で、車体全体にフジサンキャラクターが描かれている。車内はハイデッカー構造で、快適なシートから富士山の眺望が楽しめる列車だ。  

 また「富士山ビュー特急」は、数々の人気列車のデザインで知られる、水戸岡鋭治氏が手がけた特別列車。JR東海の371系を改造して誕生した車両だが、車内意匠を木目で統一し、車両ごとに座席の織り柄を変えるなど観光特急らしい仕上がりの観光特急である。

 なお、「富士山ビュー特急」の1号車は特別車両(指定席)で、利用には乗車券のほかに特急料金と特別車両料金が必要だが、アテンダントも乗務していて、ドリンクサービスを受けられる。また、土休日には「スイーツプラン」も用意されている。特急料金不要区間でおトク感を味わうか、観光特急のサービスを受けるか、選択に悩んでみるのも一興ではないだろうか。(文/植村 誠)

○植村 誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。