ヴィッセル神戸「バルサ化」で気付かされた、忘れてはいけない“原点”

山岡則夫dot.
 8月2日、ノエビアスタジアム神戸で行われたJ1リーグ『関西ダービー』、ヴィッセル神戸vsガンバ大阪。

 海からの風が心地良く感じる、夏の神戸。両チームともに成績がイマイチであり、超満員とはいかなかったが、2万人超の観客が集まった。

 純粋に楽しめる要素満載の試合だったが、ダービー直前のことが少し気にかかっていた。

 7月27日に開催された『楽天カップ』。ヴィッセルの実質的オーナーである楽天がパートナー契約した、スペインの強豪FCバルセロナ戦のことだ。

『神戸讃歌』

 神戸関係者が試合前に共に歌う曲がある。

 かつて、この地を襲った阪神・淡路大震災。この悲しく、忌まわしい過去の記憶を忘れぬよう、ファン・サポーター主導で作られた曲。震災から20年にあたる15年1月17日開催のチャリティマッチでも、試合後に歌われた曲だ。

「大事なもの。歌なんだけど、ただの歌ではない。絶対に忘れてはいけないことを伝えていける方法の1つ」(ヴィッセルチーム関係者)

 ヴィッセルに携わるものすべての宝物と言える。

●『神戸讃歌』の存在意義とは何なのか……。

 その『神戸讃歌』がバルセロナ戦での演出には入れられてなかった。

 この日はクラブからの通達で、普段のJリーグのような鳴り物などを使用しての応援は禁止となった。よって演出などは、すべてクラブ主導でおこなわれた。

 キックオフ前、スタンドの一部ファンが通常のように『神戸讃歌』をアカペラで歌ったが、別形式の演出が同時にかぶってしまった。結果的に『神戸讃歌』はかき消される形となった。

 ヴィッセルを経営に携わる楽天はバルサをスポンサードするだけでなく、世界トップチームが持つ強化メソッドなどをシェア。世界的なビッグクラブに変貌させようとしている。

 変革の第一手がアンドレス・イニエスタなどのスター選手獲得であったのは周知の通りだ。

 その他、ピッチ内外で多くのノウハウを得ているが、なかなか結果に結びつかない。ファン・サポーターもストレスをため始めていた、その矢先のことである。

 ファン・サポーターとクラブ間の重要な架け橋であった『神戸讃歌』。チームのバルセロナ化によって、なくしてしまうのか。

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MLBの名門におけるファンと球団の関係

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