そんなジャニー氏の類まれなる才覚の中でも、たびたび話題に上るのが“発掘能力”だ。

「後にブレークした所属タレントの中には若いデビュー当時の姿を見ると、同業者でも『彼のどこに魅力があるのだろう?』と疑問を抱くタイプも正直いたのですが、そういうコたちが人気を集め、バンバン売れていくわけですから、恐れ入りましたと言う他はない。半分は冗談ですが、ジャニーさんには若い男の子の潜在能力や未来の姿が見えるのかもしれませんね(笑)」

 そのうえで、芸能評論家の三杉武氏はこう語る。

ジャニーズタレントの多くはメジャーデビュー前のJr.時代、すでにデビューしている先輩のステージでバックダンサーを務めるなどの下積みを経験します。そして、そうした姿をファンにオープンにすることで、本来多くの人を魅了するタレントという存在の価値基準である才能やチャームといった瞬間的な『点』の魅力だけでなく、その成長過程などの ストーリーという別の価値基準も同時にファンに提示している。こうした手法は、後発のアイドルのプロモーションにも多大な影響を与えていると思いますし、日本のアイドル文化を語るうえで、ジャニーズ事務所は欠くことのできない存在でしょう。また、タレントの“ストーリー”を見せるという意味では、磨けば光るダイヤの原石を発掘することがより重要な要素となり、プロデューサーの眼力が試されるわけで、ジャニー喜多川社長の偉大さが際立ちますよね」

 日本のエンターテインメントに多大な足跡を残した巨星の回復を祈りたい。(立花茂)

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立花茂

立花茂

東京都出身。大学を卒業後、スポーツ紙の芸能記者として活躍。その後、週刊誌や月刊誌、ニュースサイトなどでも記事を執筆。得意ジャンルは芸能だが、取材対象はアニメ、競馬、プロレスなど多岐に及ぶ。最近はweb3.0にも興味あり。

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