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山田邦子の独立騒動で、「テレビ」と「芸」の距離を考えた

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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期せずして話題の人となった山田邦子 (c)朝日新聞社

期せずして話題の人となった山田邦子 (c)朝日新聞社

 山田邦子に独立説が持ち上がっている。事の発端は、4月29日に山田が自身のブログに書いた1本の記事である。彼女は4月27・28日に歌舞伎座で行われた「長唄杵勝会」に出演していた。この公演に事務所のスタッフが誰も来なかったということについて、彼女はブログで不満を漏らした。

 その後、週刊誌の直撃取材に答える形で、山田は「20年ほど前に社長が変わってから事務所の様子が変わり、自分のマネジャーが動いていない状態に陥っている」と話していた。

 事務所とタレントが実際どのような関係にあるのかというのは外部からはよく分からないので、この件については何とも言えない。ただ、個人的に気になったのは、最近の彼女が長唄に打ち込んでいたということだ。問題とされていた公演も、芸能生活40周年の記念の年に「杵屋勝之邦」を襲名するという特別な趣旨のものだったという。

テレビタレントとして名を成した芸人が伝統芸能の世界にのめり込んでいくのは珍しいことではない。例えば、ウッチャンナンチャンの南原清隆は番組の企画がきっかけで狂言の面白さに目覚め、コントと狂言を融合した「現代狂言」の公演をたびたび行っている。

 ビートたけしは落語に熱を上げている。立川談春から「立川梅春(たてかわばいしゅん)」という高座名をもらい受け、ライブで古典落語を披露している。現在放送中の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」で古今亭志ん生を演じているのもそのためだ。

 テレビタレントとしてある程度の地位を確立した芸人たちが、そこから専門外の芸事に傾倒していくのはなぜなのか。

 彼らはもともと、漫才、コント、ものまねなどの芸を武器にして世に出てきた。そして、影響力の強いテレビという場所で活躍して、確かな実績を残した。ただ、そんな彼らの多くは、古典芸能などの世界に憧れたり、どこかコンプレックスを感じていたりする。

 なぜなら、彼らが名を成したテレビの世界は、洗練された芸を見せる場所ではないからだ。テレビではプロの芸は求められていない。タレントはあくまでもテレビ番組を作るための「素材」に過ぎない。番組や企画の趣旨に合わせて、空気を壊さないような振る舞いをしながら視聴者を楽しませることが求められている。


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