いよいよ令和が始まった。
今や女性やシニア客が増えたコンビニの売れ筋をたどってみると、昭和→即食性の高いボリューム商品、平成→普段の献立に役立つ総菜やヘルシー商品と、大きく変化した。
【ランキング】「山ちゃん手羽先味」、「北海道ザンギ」など人気フレーバーを抑えて1位に輝いたのは…
トレンドの移り変わりが早いコンビニ界でも、人気が衰えないオリジナル商品がある。ローソンのフライドフーズ「からあげクン」だ。
からあげクンは1986年生まれ。当時を知る中食商品本部の担当者に話を聞くと「ローソンは79年、できたてのメニューをお届けしようと業界で初めて店内にフライヤーを導入しました。以降、時代性やお客様のニーズに合わせて、さまざまな商品を開発してきたのです。からあげクンを発売したのもその一環です」という。
70~80年代のコンビニメイン客層は、多忙な若い男性客。そのため当初、店頭に並んだフライドフーズは、アメリカンドッグ、ジャンボフランク、手羽元、手羽先といった「すぐ食べられる」メニューばかりだったそうだ。
「“スナックメニュー”が売れ筋だったため、おかずとして人気の高いからあげを手軽に食べられるスナックにできないかと、当時の開発メンバーは試行錯誤したと聞いています」(ローソン担当者)
からあげクンは昭和時代、食卓にのぼる頻度の高かったからあげを「おやつ」に進化させたアイデアメニューだったわけだ。
だが、それだけでここまでの超ロングセラーに育つわけがない。
「なぜ、からあげクンは平成を生き残り、令和でも人気が衰えないのか?」と素朴な質問をしてみると、「むね肉だからです」と、端的な答えが返ってきた。
「もともと日本人は味の濃い鶏のもも肉を好む傾向がありますが、からあげクンは肉の味が淡泊なむね肉なので、繊細かつバラエティー豊かな味付けができたのがよかったんでしょう」と、担当者は続ける。
現に、今年33才を迎えたからあげクンのフレーバーは定番化した「レギュラー」「レッド」「チーズ」のほか、270種以上にも上っている。
時にご当地風味を再現したり、人気キャラクターとコラボしたりと、果敢に新しい味・新しい驚きにチャレンジしてきた結果が、今日のからあげクンの強さにつながった。これまでの販売個数は累計31億食以上。昭和~平成~令和と時代を超えたコンビニ界屈指のヒットメーカーといって間違いない。
改元を機に、ここ10年、店頭で売り上げのよかったからあげクンの「ランキング50」をローソンに教えてもらった(レギュラー・レッド・チーズは殿堂入りのためのぞく。詳細数字は非公表)。
「ああ、あの味好きだったなー」と平成を振り返るのも興味深い。さて、1位は何味だと思いますか?
(文/コンビニジャーナリスト・吉岡秀子)