そのバリオスの背中を取る形で香川が走り出し、中島から絶妙のスルーパスを引き出したのだ。タイミングは完璧だったが、足の運びとボールコントロールがわずかに合わず、右足でボールをタッチしたものの、バランスを崩して転倒してしまった。

 後半34分に南野に代わり鎌田大地が入ると、できるだけ相手4バックとボランチの間をキープして、前に出てきた味方ボランチや中に流れるサイドハーフがボールを持てる状況を作りながら、必要に応じて中盤に下がって起点になった。小林を前に押し出す役割も見せた香川は間延びしかけたディフェンスの局面でも、ボールを失った瞬間に相手の縦を切ってカットするなど効果的なプレーを見せた。

 ただ、全体としては落ち着きをもたらしながらタイミングを見てスイッチを入れようとする香川と、間髪入れず縦に攻めたい周囲との意識のズレも生じていた。より守備を固めてきそうなボリビアに対してはコンビネーションが鍵になりそうだ。ボリビアは0-1と敗れた韓国戦で4-4-2を採用していた。

 ブロックを組んでいたが、組織としてあまりタイトではなく、局面で個人が体を張るか、GKルベン・コルダノのセーブに頼るシーンが目立った。どちらかと言えば、ソン・フンミンを中心とした韓国のフィニッシュの精度に助けられた結果の0-1だったが、対人能力は高いので、いかにスペースを活用して最終ラインの裏やギャップを突けるかが重要になる。

 スタメンは左に乾、右サイドには宇佐美貴史が入る可能性が高いが、ボリビアが韓国戦と同じく4-4-2であれば、日本は左右のサイドバックが高めのポジションを取り、ボランチの一人がセンターバックの間に入る形で3-3-3-1に近い形になる時間帯が多くなりそうだ。その状況で香川がボランチや乾、宇佐美とビジョンを共有して起点を作り、うまく周囲の連動を促せれば立て続けにチャンスを作れるはずだ。

 ボリビアが攻撃で何度か高い位置にボールを運ぶシーンはあるはずだが、韓国戦を見る限りはコロンビアより後ろの選手が追い越していくダイナミックな動きが少なく、単発の仕掛けやロングボールからの一発にかける攻撃が多いので、攻守のアップダウンがコロンビア戦ほど激しくならないはず。

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スタメン総入れ替えなら香川の存在はより意味を持つ