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“奨学金”を返済したのに希望する病院で働けない 医師が語る「地域枠入試は誰のため」

連載「ちょっとだけ医見手帖(山本佳奈医師)」

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山本佳奈dot.#大学入試

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

(写真:getty images)

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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は医学部入試の「地域枠」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

*  *  *
 2月末、全国各地で行われた国公立大学医学部の前期入試。昨年、東京医科大が、私立大支援事業に選んでもらう依頼をした見返りに文部科学省の前局長の息子を入試で合格させたとして、同大学の前理事長と前学長が贈賄罪で起訴されるなど、医学部における女子受験生や多浪生減点といった不正入試が明るみになってから初の入試。医学部受験生にとっては、昨夏以降、複雑な思いを胸に抱いたまま、受験に挑まれたことと察します。

 裏口入学だけなら、もしかしたら「まあ、裏口はあると思っていたよね」で終わっていたかもしれません。けれども、女子受験生を一律に減点していたという事実は日本国内にとどまらず、「女子差別である」と、米国や英国をはじめ、世界各国で報道されました。

 これら一連の報道や文部科学省の調査により、女子差別や多浪性差別に隠された医学部入試における闇が明らかとなることを期待したものの、究明されたとは言い難いまま迎えた入試となったのではないでしょうか。

 受験シーズンも佳境を迎えている今、医師の偏在を解決するために、国や県が主導し、2009年の導入以降、大部分の医学部に設置された「地域枠」について、自身の受験体験記も交えながらお話したいと思います。

■地域枠入試とは

「地域枠」とは、自治体から奨学金を得る代わりに医師になったら、約9年間、当該の自治体で医師として勤務することを“約束”するものです。仕組みは様々ありますが、自治体の多くは、地域枠で入学した医学生に、10%以上の年利で月20万~30万円の奨学金を貸し付けます。医学部卒業時に、借金が2000-3000万円にも上ることになりますが、奨学金が支払われた自治体の指定された医療機関で一定期間医師として勤務すれば、奨学金の返済が免除されるという仕組みです。


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