男性は市街地から離れており、農地も多いためアパート経営には不向きと考えていた。しかし、足繁く通ってくる営業の社員から「家賃を30年間保証します」と言われて飛びついた。男性の両親は反対したが、「広い土地を持っているから、借金を作って相続税を減らさないと遺産相続ができない」と言って説得し、両親と共有名義でアパートを建てた。

 だが、男性が建設した時期と相前後して、この地区には次々とアパートが建てられた。男性がアパートの名称などから調べたところ、レオパレス21の物件が多くを占めるが、他の不動産業者もこの地区の地主を回り、アパートを建てている。

■レオパレスの営業社員「撤退するから大丈夫」

 男性は憤る。

「私が建ててわずか3年のうちに、周囲にどんどんアパートが増えましたよ。こんなにたくさんアパートを建てられたら、空室だって増えるし、アパートの価値だって下がってしまう。当初、レオパレスの営業社員は、適正な数が建てば自分たちは撤退するから大丈夫です、と言っていたから信用していたのに……」

 30年保証と言われていたはずの家賃も、築10年で約2割の引き下げを求められた。レオパレスとの交渉の末、従来通りの家賃は維持したが、「空室が増えればこの先どうなるか分からない」との不安を募らせる。