タイ北部チェンライ郊外の洞窟から17日ぶりに救出された少年たち(c)朝日新聞社
タイ北部チェンライ郊外の洞窟から17日ぶりに救出された少年たち(c)朝日新聞社

 世界が固唾を飲んで成り行きを見守った、タイ北部チェンライ郊外のタムルアン洞窟に閉じ込められた少年ら13人の救出活動。ダイバー1名の尊い命が犠牲になってしまったが、13人の少年は全員無事に救出。“奇跡の救出劇”として既に映画化の動きがあるなど、依然世界中の耳目を集めている。そんな中、タイ国内で1冊の本が注目されている。「科学漫画 洞窟のサバイバル」である。もしものときのサバイバル術に関心が高まっているようだ。

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 タイのマスコミは事件発生から連日、13人の少年の救出劇を大きな扱いで報道している。そんな中、タイ全国紙「コム・チャット・ルック」にこんな記事が掲載された。

<子供のサバイルに役立つ科学の漫画「洞窟のサバイバル」は、カラーで描かれた綺麗な絵を通して科学知識を学べる漫画の本である。自然を冒険することが大好きな主人公である男の子と友達が、まだ観光地として拓かれていない洞窟を探索するストーリーで、洞窟内の自然を満喫しているときに、予期せぬ出来事が起こる。洞窟が崩れ、彼らは洞窟の奥へと落ちてしまい、さまざまな障害と立ち向かう>

「コム・チャット・ルック」紙は、そのほかに洞窟遭難を題材にした映画を紹介し、本や映画から学ぶ知識の大切さを報じている。

「科学漫画サバイバルシリーズ」は、韓国で発売されている児童向けの人気シリーズだ。アジア各国で翻訳され、日本でも2008年に朝日新聞出版から発売され、最新作「AIのサバイバル」まで62巻が刊行されている。

 日本で10年に発売された「洞窟のサバイバル」の内容はこんな風に紹介されている。

<洞窟探検に行った主人公たちは崩落事故に遭い、真っ黒な洞窟に閉じ込められる。出口を懸命に探すうちにようやく地下水路を発見したのも束の間、いきなり水が押し寄せ、洞窟は水没の危機に陥った──>

 なんともタイの遭難事故を予見していたかのようなストーリーであるのだか……。

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「洞窟のサバイバル」で書かれていたこととは…