届け出がなければ、予約がキャンセルになるというメールだった。男性はこういう。

「今年の12月に民泊の予約がたくさん入っていたのですが…。お断りしなければならないのが残念です。新法上で民泊ビジネスをやるメリットを見失ったので、これを機にやめることにしました」

 男性によると、最も高いハードルは年間180日までという営業規制だ。

「ビジネスとしてやっていたので、180日では赤字になります。値段を上げれば、お客さんは来なくなると予想しています」

 他にも新法上、民泊を運営するにあたって物件所有者や管理組合に許可が必要なため、面倒なことが多い、敷居が高いと男性はいう。 

「民泊OKというマンションは、立地などの条件も悪く、赤字になる可能性が高い物件が多いです」

 都内で5月末まで民泊を運営していた女性(32)もやめたと明かす。

「提出する書類が多いし、消防法令に沿った準備を新たにする必要もある。煩わしいわりに、180日までしか貸せなかったりと利益が出づらいと思い、やめました」

 民泊は欧米で普及し、日本でもAirbnbが上陸した2013年以降、広がりを見せた。しかし、現行のルールが追いつかず、今回、細かいルールなどを定めた民泊新法の施行に至った。

 仲介サイトは新法施行後に無許可施設を載せられない。Airbnbは6月初旬に4万件以上の表示をやめ、掲載施設は約8割も減った。

「手間をかけないために、Airbnbではなく、中国のサイトを使おうかと思ったけれど、以前、中国の人に家を汚されていたし、Airbnbに比べて集客力もないので、やめる決断をしました」(前出の男性)

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「民泊続けられない」と中国人女性の告白