では、帯状疱疹は、どのような症状を引き起こすのでしょうか。

 一つ目は、皮疹です。まず、赤い斑点が神経に沿って帯状に現れます。そのあと、小さな水ぶくれが集まって出現し、1週間もすればかさぶたに変わります。皮疹の出現後、2~4週間程度でかさぶたは取れて治癒しますが、なかには色素沈着を残してしまうものもあります。ほとんどの場合、左右どちらかに現れます。体幹に出現することが多いですが、神経のあるからだのどこでも発症します。

 二つ目は、急性疼痛です。帯状疱疹の最も一般的な症状であり、皮膚や神経の炎症を痛みとして自覚します。皮疹が現れる数日前から1週間前に出現することが多いです。米国のDworkin医師らの報告によると、約75%の患者さんが、皮疹の出現する前に痛みを自覚していたと言います。皮疹と同時に出現することもあれば、やや遅れて出現することもあり、個人差があります。ほとんどの患者さんが、燃えるような痛み、ズキズキするような痛み、または刺すような痛みを訴える、と米国のKost医師らは報告しています。また、痛みの程度も個人差が大きく、ほとんど自覚しない人もいれば、極めて強い痛みを訴える人まで様々です。なかには、違和感、かゆみを訴える人もいます。その他に、頭痛、発熱、倦怠感、疲労などの全身症状を認めることがあります。ただ、Dworkin医師らの報告では、患者さんの20%未満しかみられなかったといいます。

■数十年にわたって痛みが続くことも…

 帯状疱疹で厄介なのは、皮膚症状が治った後も、数カ月から数年、まれに数十年も痛みが続くことがあることです。

 帯状疱疹後神経痛といい、神経が損傷されたことによる痛みであると考えられています。これは、帯状疱疹の最も一般的な合併症として知られており、全ての帯状疱疹の患者さんの10~18%が罹患するという報告があります。前述のDworkin医師らの報告(1998年)では、高齢であることと、皮疹が重篤であること、そして急性疼痛が重症であることが、長期における帯状疱疹後神経痛を発症させる要因なのです。さらに、痛み以外にも、帯状疱疹の発症する部位によっては、顔面神経麻痺や髄膜炎、角膜炎、排尿障害などの合併症を引き起こすことも報告されています。

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帯状疱疹になりやすい性別や年齢とは