「慶應義塾大学の考える新しい寮の建設、運用を実現するため、マンション開発で培った機能・ノウハウを持つ伊藤忠商事と、40年以上の学生寮運営実績を有する伊藤忠アーバンコミュニティの両社で企画、候補地の検討、伊藤忠商事が事業主として建物を建設し、伊藤忠アーバンコミュニティが運営管理を行う事となりました」(17年4月17日)

 アサヒビールは同志社大、早稲田大が同人数で1位となった。アメリカンフットボールXリーグのチーム「アサヒビールシルバースター」では両校出身の選手が活躍している。なお、同社社長の平野伸一氏は早稲田大教育学部出身である。

 オリエンタルランド1位は12人の早稲田大。学部別では政治経済2、教育2、商2、社会科学2、文化構想4となっている。同社は東京ディズニーランドなどを運営する企業として広く知られている。就職者がもっとも多かった文化構想学部の人材養成方針は「柔軟で豊かな発想力を使って、新しい文化の世界をダイナミックに構想できる人材を育成する」(同学部ウェブサイト)。今春で開園35周年を迎えた東京ディズニーランドで、娯楽という文化にまったく新しい発想を吹き込むことができるだろうか。

オムロン1位が立命館大なのは必然かもしれない。両者は産学連携面でしっかりと握手し、共同研究、インターンシップ、研究者交流などで絆が強いからだ。

 立命館大大学院テクノロジー・マネジメント研究科(MOT大学院)教授の中塚信雄氏は、オムロン京都中央研究所の開発室長、技術統括センタ所長をつとめていた。専門は産業用制御機器の企画・研究・開発・技術標準・生産・事業インキュベーション・知的財産権に関わるマネジメントであり、これまでに培った経験や知識を、立命館大の学生に伝えている。

 人気企業就職ランキング上位校は、たまたまその大学から多くの学生が就職したということもあろう。だが、大学と企業のさまざまなつながりから、就職者数1位となったケースも見られる。企業と大学という産学接続を見ることができて興味深い。

※早稲田大の就職者数は大学公表の資料から

(文・小林哲夫/教育ジャーナリスト)

【ランキングの見方】
大学通信調べ。「マイナビ・日経 2018年卒大学生就職企業人気ランキング」(マイナビと日本経済新聞社の共同調査。有効回答4万2702人)に掲載された文系総合ランキング、理系総合ランキングそれぞれの上位企業(一部除く)への就職者数を大学別に集計した。東京大、京都大などアンケートに回答していない大学は未掲載。