『午後の紅茶』炎上でわかった柳原可奈子、横澤夏子ら女芸人の文脈を読む技術 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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『午後の紅茶』炎上でわかった柳原可奈子、横澤夏子ら女芸人の文脈を読む技術

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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柳原可奈子さん (c)朝日新聞社

柳原可奈子さん (c)朝日新聞社

横澤夏子さん (c)朝日新聞社

横澤夏子さん (c)朝日新聞社

 つぼゆりは、これまでのキャリアの中でこれほどの規模の「炎上」を経験したことは恐らくないだろう。また、今回の件でも、イラストを製作したつぼゆりに対する批判の声はほとんどなく、キリンビバレッジの企業としての姿勢を責める意見がほとんどだ。

 キリンビバレッジ側としては、ウェブでも人気の高いつぼゆりを起用することで、見る人に楽しんでもらうのが目的だったのだろう。しかし、残念ながら文脈を読み間違えてしまった。キリンビバレッジの公式アカウントが特定の女性を皮肉っぽく描くようなイラストを公開してしまった場合、企業が主体となってそういうメッセージを発していると受け取られてしまう。芸人やイラストレーターのように個人として発信しているとは思ってもらえない。その点を誤解していたのが失敗の原因である。

 ただ、個人的には、今回のことで企業側にも同情してしまう部分はある。そもそも企業アカウントの運営というのは簡単なことではないのだ。なぜなら、それは企業であると同時に個人であることも求められるようなところがあるからだ。企業アカウントでは、ただ一方的に宣伝のようなことばかりを垂れ流していても、誰にも見てもらえない。だから、あえて少しだけ人間っぽい部分を出して気の利いたことを書いて、個性を出していった方が、親しみを感じさせて人気を獲得しやすい。

 ただ、どんなに人間臭さのある投稿を繰り返していたとしても、企業を代表していることに変わりはない。今回のように何か問題が生じれば、企業として責任を問われることになる。個性を出した方がいいけど、個性を出して炎上したら企業として叩かれてしまう。企業アカウントほど運用が難しいものはない。

 芸人は空気を読むことに長けていると言われる。それは、笑いを取るためには笑いを起こすための「場」の状況を的確に読むことが必要だからだ。観客は自分をどう見ているのか、ということを芸人は人前に立つときに常に意識している。炎上を未然に防ぐための「文脈」を読む技術はプロの芸人に学ぶべきだろう。(ラリー遠田)


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ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・ライター、お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)など著書多数。近著は『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)。http://owa-writer.com/

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