告発について最初に非常識な行動をしたのは財務省だ。問題発覚後に、福田氏への事情聴取だけでは「事実の解明が困難」との理由で、被害者女性に名乗り出るよう求めた。

 20日には自民党の長尾敬衆院議員が、セクハラ問題について黒い服を着て抗議した野党の女性議員に対し、ツイッターで「セクハラと縁遠い方々」と嘲笑する文章を投稿。ネットで炎上し、テレビでも取り上げられるなどして長尾氏は22日に謝罪。投稿内容も削除された。

 だが、これだけでは終わらなかった。長尾氏が当初、ブログで公表した釈明で「複数の男性議員も含まれていた」からと意味がよくわからない理由を披露。再びネットで炎上した。

失言が止まらない理由について、前出の細永弁護士はこう話す。

「問題発言が相次ぐのは、セクハラ被害の構造を分かっていないからです。会社などの組織では、セクハラを訴えた人が問題視されることがよくあり、被害者はたくさんのハードルを越えて苦しい胸の内を明かしています。にもかかわらず、被害者への批判が先行している。本来は恥ずかしい行為なのに、本人たちは何の自覚もないのです」

 長尾氏の発言について事務所は「本人も反省しており、ブログに『お詫びと真意』というタイトルで本人のコメントとさせていただきました」と回答。

 投稿の理由に男性議員の存在をあげたことについては「投稿時は真意だったが、その後も多数のご意見を受け、反省すべき一つの点と認識している」とコメントした。

 下村氏は23日、メディア各社に「『ある意味犯罪』と述べたのは表現が不適切でした。素直に撤回するとともに謝罪いたします」とのコメントを発表した。

 世間からこれだけ批判されているにも関わらず、自民党内で無神経な失言が相次ぐ背景には、安倍政権の男尊女卑的な「本音」が根底にあるのではないか。

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【福田氏のセクハラ疑惑発覚後に相次いだ安倍政権や自民党議員の失言】

■下村博文元文科相の発言(4月22日)
「たしかに福田事務次官がとんでもない発言をしてるかもしれないけども、そんなの隠しテープで録っておいて、そしてテレビ局の人がですね、週刊誌に売るっていうこと自体が、はめられてますよね。ある意味で犯罪だと思う」

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財務省の“非常識”文書