クラミジア感染症に話を戻そう。この疾患への関心はどれくらいなのか。新聞・雑誌のデータベースサービス「日経テレコン」を使用し、2017年の一年間に全国紙において「クラミジア」というキーワードが出てくる記事数を調べて見たところ、76件だった。「不妊」は1332件、「子宮頸がん」は428件、「認知症)は7759件、「高血圧」は1852件であったことから、いかに関心が低いかが分かる。

 では、クラミジア感染症とは、一体どんな疾患なのだろうか。クラミジアは、感染した人の精液や膣分泌液が、性器や泌尿器、肛門、口腔に接触することで感染する。女性の場合、おりものの増加、不正出血、下腹部の痛みや性交渉時の痛みなどが見られ、男性の場合、排尿時の軽い痛みや尿道のむず痒さを自覚する程度で、症状は軽い。

 だが、男女ともに無症状のことが多く、女性の90%以上は無症状であるため、無治療のまま放置されてしまう。すると、慢性感染の状態となり、男性の場合は前立腺炎や精巣上体炎、女性の場合、卵管炎や腹膜炎、子宮外妊娠を引き起こし、男女ともに、不妊症の原因になってしまう。卵管や腹膜などの骨盤内に炎症が波及し、骨盤内に炎症を引き起こす割合は、感染者の10~40%であるという報告もあり、不妊の原因の2割をクラミジア感染症が占めていると推測する研究者もいる。

 さらに、妊婦がクラミジアに感染していると、流産や死産、早産や低出生体重児の誕生につながる恐れがあることが示唆されている。公益財団法人「性の健康医学財団」の2013年10月~14年3月に行われた妊婦健診を受けた32万5771人のデータ解析によると、2.4%に相当する妊婦7690人が感染していたという。年代別の感染率というと、19歳以下が15.3%、20~24歳が7.3%、25~29歳が2.2%、30~34歳が1.2%であった。2017年の出生数が94万人であることから、約2万2 千人もの妊婦がクラミジアに感染していることになる。

■日本のクラミジア検診率は……

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