広島・丸 (c)朝日新聞社
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 今から3年前の2015年、野球に関する言葉が新語・流行語の年間大賞に選ばれた。この年に山田哲人(ヤクルト)と柳田悠岐(ソフトバンク)の2人が達成した『トリプルスリー(打率3割・30本塁打・30盗塁)』である。ちなみにトリプルスリーの達成は2002年以来13年ぶりであり、また山田は翌年にもNPB史上初となる2度目のトリプルスリーも達成している。

 昨年は残念ながら達成者は現れなかったが、彼らに負けないポテンシャルを秘めた選手は他にも多く存在している。そこで今回は次にトリプルスリーを達成する可能性のある選手について、過去の成績と潜在能力から探ってみたいと思う。

 まず過去5年間でトリプルスリーの条件3つのうち、2つをクリアした選手がどの程度いるか調べたところ、下記のようになった。なお、同じ年の成績ではなく、あくまで過去5年間の最高成績だ。

■打率3割 30本塁打
バレンティン(ヤクルト)
中田翔日本ハム
筒香嘉智(DeNA)
ロペス(DeNA)

■打率3割 30盗塁
糸井嘉男(阪神
西川遥輝(日本ハム)

■30本塁打 30盗塁
該当者なし

 打率3割、30本塁打については4人が該当したが、いずれもいわゆるスラッガータイプの選手ばかり。4人の過去5年の最高盗塁数はバレンティン、中田、筒香が2、ロペスが1となっており、30盗塁をクリアできるとはとても思えない。打率3割、30盗塁をクリアしている2人についても糸井は今年で37歳という年齢、西川もこれまでの最高本塁打数が9本ということを考えると、トリプルスリー達成の可能性は低いと言わざるを得ないだろう。

 そこでもう少し対象を広げ、トリプルスリーに近い数字をマークしている選手をピックアップしてみたところ、下記の7人が該当した、なお年齢は今季の満年齢であり、成績は過去5年の中での最高成績である。

秋山翔吾(西武):30歳 打率.359 25本塁打 18盗塁
浅村栄斗(西武):28歳 打率.317 27本塁打 14盗塁
丸佳浩(広島):29歳 打率.310 23本塁打 29盗塁
田中広輔(広島):29歳 打率.290 13本塁打 35盗塁
鈴木誠也(広島):24歳 打率.335 29本塁打 16盗塁
陽岱鋼(巨人):31歳 打率.293 25本塁打 47盗塁
坂本勇人(巨人):30歳 打率.344 23本塁打 24盗塁

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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最もトリプルスリーに近いのは?