これらの選手の中でも近年の安定感を考えると、秋山と丸の2人が最も近い位置にいると言えるだろう。秋山は、もともとリードオフマンタイプの選手だったが、昨年はホームランを一気に伸ばした。それでいながら首位打者も獲得するなど、確実性が下がっていないことも頼もしい。盗塁数は過去3年で17→18→16と横ばいだが、成功率は.500→.750→.762と向上していることを考えると、30盗塁も決して不可能な数字ではないだろう。

 丸も秋山と同様に確実性をキープしたまま長打力を伸ばしてきた。そして今シーズンも開幕からホームランを量産しており、30本塁打をクリアする勢いである。盗塁は盗塁王に輝いた2013年(29盗塁)から減少傾向にあるが、脚力自体は衰えているわけではない。そのことを考えると、今シーズンは大きなチャンスの年になりそうだ。

 そして年齢を考えると将来的に最も可能性が大きくなりそうなのが鈴木だ。昨シーズンは8月下旬にプレー中のケガで離脱しなければ30本塁打をクリアしていた可能性は高い。打率も2年連続で3割をクリアしており、盗塁も年々数字を伸ばしている。唯一気になるのは昨年負傷した右脚の状態だ。今シーズンもその影響からか下半身の張りを訴えて開幕直後に登録抹消となった。将来のことを考えても、まずはしっかり状態を万全にしてもらいたい。

 最後に可能性のある選手の一覧には含まれていない若手選手を候補として一人紹介したい。それは上林誠知(ソフトバンク)だ。プロ入り4年目の昨年、初めて規定打席に到達し打率は.260だったものの、13本塁打、12盗塁をマークし長打力と脚力を持ち合わせていることを証明した。ポストシーズンでは不振で出場機会がほとんどなかったものの、その悔しさをバネに今シーズンは開幕から好調をキープしている。山田、柳田はレギュラー定着からわずか2年でトリプルスリーを達成しているが、上林もそれに続く例となる可能性は十分にあるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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