同様に、元イングランド代表のオーウェン・ハーグリーブスもまた、サイドアタッカーから中盤のセンターにポジションを移してよりキャリアを充実したものにした。シュバインシュタイガーとも共通する部分は、サイドアタッカーとしても代表キャップ数を積み重ねるほどの選手だった点だ。その一方で、ハーグリーブスはマンチェスター・ユナイテッド(マンU/イングランド)の中盤でもプレーし、強烈なボール奪取能力を見せつけた。どちらかと言えば、守備能力がコンバートによって花開いたタイプだと言えるだろう。

 逆に、守備的なポジションから前線へ移されて才能を開花させた選手の一人が、レアル・マドリード(スペイン)のウェールズ代表ガレス・ベイルだろう。サウサンプトン(イングランド)でプレーしていた際にはサイドバックだった。しかし、トットナム(イングランド)に移籍してから前線にコンバートされると、その得点能力を開花させた。結果的に、トットナムからレアルへは当時の移籍金世界最高額の記録で移ることなる。

 そして、レアル移籍後はクリスティアーノ・ロナウド、カリム・ベンゼマと共に看板ユニット「BBC」を結成することになる。ウェールズは2016年の欧州選手権で旋風を巻き起こしたが、ベイルは1次リーグの3試合連続ゴールでその立役者となった。あのコンバートがなければ、世界中のサッカーファンにこれほどまで名前を記憶される選手になっていただろうか。

 また、チャンスメーカーからストライカーへと変貌を遂げたのは、元オランダ代表FWロビン・ファンペルシだろうか。小野伸二も所属していた当時のフェイエノールト(オランダ)では、ウインガーとしてプレーしていた。そのキャリアが変貌を遂げたのは、アーセナル(イングランド)に移籍してからだ。アーセン・ベンゲル監督によってトップに据えられると、得点能力をいかんなく発揮した。マンUなども渡り歩いたが、もはやファンペルシをサイドのプレーヤーとして起用する監督はいなかった。

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起用法で才能が開花