至学館大の谷岡郁子学長(同協会副会長)が記者会見で「そもそも伊調馨は選手なんですか?」って言ったこともニュースになりましたけど、そう言っちゃうってことは……ってみんな思ったでしょ。そこよ!あなたのやってるそういうことなのよ、問題は!っていう。

 やっぱり昔はパワハラって「熱血指導」だったと思うんですよ。いま幹部にいる人たちはそういう考えで育ったと思う。僕も近い世代だから、別にぶん殴られても愛があるならいいじゃんって思うところはあるけど、時代の流れとともに、スポーツ指導もそれじゃいけなくなっている。そうじゃなくても結果が出せるってことがデータで分かってきてる。だから、もうそのやり方じゃダメなんだろうなと思いますよね。

 そういうことが本気で理解できていない人は排除して、新しい世代に主導権を渡しちゃったほうがいいのかなと思いますけどね。

 相撲も柔道も、日本のスポーツ界って問題が起きてちょっとずつ変わってきたじゃないですか。どんなきっかけかは別としても、レスリング協会にもそのときが来たんじゃないですか。

 相撲の「女人禁制」問題も同じだと思うんですよ。日本相撲協会の八角信芳理事長は「人命にかかわる状況には不適切な対応でした」と謝罪しましたが、女性が土俵に上がれないというルールはナンセンスだし、これだけは変えたほうがいいと思うんですよね。そのほかの守るべき伝統は守ればいい。それで「昔は女性は上がれなかったんだぜ」って語り継がれればそれでいいと思う。

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