大腸がんの臨床試験でわかった腹腔鏡手術の意外な弱点とは  (1/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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大腸がんの臨床試験でわかった腹腔鏡手術の意外な弱点とは 

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杉村健dot.#がん#ヘルス#病気
比較試験では、腹腔鏡手術の根治性が開腹手術と同等と示せなかった

比較試験では、腹腔鏡手術の根治性が開腹手術と同等と示せなかった

 おなかを大きく切らずに小さい傷でがんを切除できることから、普及してきた腹腔鏡手術。大腸がんでは2002年に保険適用になって以降、その手術数は、開腹手術に置き換わる形で増加。国内のデータでは、大腸がん手術の72%が腹腔鏡手術でおこなわれているとする報告もある。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2018』では、腹腔鏡手術の真実に迫った。

*  *  *
 腹腔鏡手術は患者のメリットとして、傷が小さい、回復が早い、退院日数が短いことなどが証明されている。しかし、肝心の「がんを治す」という点については、国内では大規模な臨床試験の結果はなく、エビデンス(科学的根拠)がない状態だった。というのも、がんの根治性を検証するには、「5年生存率」という手術後の長期の経過をみなければならず、試験そのものに時間がかかる。

 つまり、国内での検証がなされる前に、腹腔鏡手術が急速に普及してしまった状況なのだ。エビデンスが出ていないため、現時点でもっとも信頼できる最高の治療である「標準治療」は開腹手術であり、腹腔鏡手術はオプションという選択肢になっている。

 そういう状況の中、多くの外科医が注目していた臨床試験が「意外な結果」に終わった。

 その試験は、国内トップレベルの病院が参加する研究グループ、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)がおこなったランダム化比較試「JCOG0404」。腹腔鏡手術と開腹手術の根治性を比較した臨床試験で、04年に始まり、9年半かけて終了。15年に結果が発表され、16年に総括報告書にまとめられた。

■開腹手術と同じくらい治ることを証明する試験

「もしこの試験で腹腔鏡手術が開腹手術と同じくらい治ることが示せていれば、『大腸癌がん治療ガイドライン』を変更し、腹腔鏡手術の推奨度が高くなり、適応も拡大されることになったでしょう。腹腔鏡手術を推進する外科医らからすると、後ろ盾となるエビデンスが得られると期待していたのです。しかし、試験では、『証明できなかった』という結論が出たのです」


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