「メディアに開会式は欠席すると報道させていたのも計算の上で、反対論を盛り上げてから、安倍さん自らが韓国に乗り出す形にしたかったのでしょう。安倍さんは、保守系議員に反対されても、平昌に行くことについては早い段階で覚悟を決めていたようだ」

 開会式には米国のペンス副大統領も出席する。北朝鮮情勢が緊迫するなか、日米韓の首脳が韓国で一堂に会することになる。「インサイダー」編集長でジャーナリストの高野孟氏は、こう話す。

「そもそも米国は、今月9日に行われた韓国と北朝鮮の南北閣僚級会談を歓迎しています。というのも、トランプ政権で本流にいるティラーソン国務長官らは、現時点では戦争回避のために対話路線に持ち込むことで一致している。そのなかで安倍首相だけが圧力一本槍で、軌道修正せざるをえない状況に追い込まれていた。また、慰安婦問題で日韓両国で不信感があっても、目前に迫っている戦争危機の対応とは別に考えるのが当たり前。その意味では、安倍首相は出席反対派に惑わされることなく、理性的な判断をしたということでしょう」

 ここ数日の開会式に出席すべきか否かのゴタゴタは、反対派をなだめるための茶番劇だったということか。(AERA dot.編集部・西岡千史)