働き方改革では、シフトで予定した時間どおりに働いてもらうことを徹底。月8日の休みも確実に取るよう指導した。こうした取り組みの結果、12月度は繁忙期にもかかわらず、全店で予定外の残業は発生しなかったという。「労働時間短縮」の掛け声だけでは現場はかえって労働強化ということにもなりかねないが、機械化による生産性向上も同時に進めている。これまで自動釣銭機、タッチパネルを使ったセルフオーダーシステム、自動シャリ玉製造機やのり巻き機などの導入を進めてきたが、現在注力するのは値段ごとに色の違う皿を、自動で仕分けるシステムの導入だ。すでに食器の洗浄や乾燥は機械化が進んでおり、更なる省力化に結び付くという。

 また元旦と2日は、従来はランチ時間帯から店内飲食、テイクアウトとも営業していたが、今年から半数程度の店舗でランチ時間帯はテイクアウトのみにした。石田氏は「現場スタッフからはゆとりができたと感謝されました。営業時間短縮による売上ダウンも、当初見込んでいた額の6割程度に収まりました」と、働き方改革の進展を自己評価する。「飲食サービス業であってもひどい長時間労働が当たり前ではなく、しっかり休みも取れることを示すことが、優秀な人材の確保や定着に結びつくはず」と期待している。

 もちろん働き方改革だけが、銚子丸の新規出店難への対策ではない。機械化を進めることで、より少人数のすし職人で営業できる小規模な都市型店舗の開発、回転すしとは全く違う業態への進出などを検討しているという。
お客の感動を呼ぶようなすしネタと活気のある接客サービスを、郊外の地域密着型店舗で提供するという「成功パターン」で、グルメ回転すし業界を順調に航海してきた銚子丸。だが鮮魚の高騰、人手不足、大手チェーンの台頭といった大波を受け、従来のやり方の踏襲では、これからも穏やかな航海が続くとはいかないようだ。次々と現れる課題に対応する、さまざまな打ち手を繰り出すことで、銚子丸は更なる進化を遂げようとしている。(五嶋正風)