ジュビロ磐田の中村俊輔(左)、FC東京の大久保嘉人(写真:Getty images)
ジュビロ磐田の中村俊輔(左)、FC東京の大久保嘉人(写真:Getty images)

 今季のJリーグも多くの移籍選手が活躍し、リーグの順位にも大きな影響を与えた。象徴的だったのが川崎フロンターレのJ1初優勝。風間体制から引き継いだ鬼木達監督が攻撃的なパスサッカーをベースに守備の組織を強化してJ1初制覇を果たしたが、新加入の阿部浩之(ガンバ大阪→)と家長昭博(大宮アルディージャ→)がサイドからの打開力をアップさせたことが大きなプラス要素となった。

 阿部は早期にフィットして10得点6アシストという記録の通り個人技でもコンビネーションでも相手ディフェンスを翻弄し、正確なシュートとラストパスで多くの勝利に貢献した。家長は2得点5アシストという記録以上に崩しの起点としてチャンスに絡んでおり、J1初優勝を語る上で欠かせない1人だ。

 その一方で家長が移籍した大宮はJ1に昇格した清水エスパルスから昨季J2で18得点の大前元紀を獲得したが、2得点1アシスト。たまに光るプレーもあったが本来の切れ味鋭い個人技やシュート力もあまり見られず、継続的にチームを勝利に導く活躍ができず、家長の穴が埋まらなかったことは降格の要因と言わざるをえない。

 13‐15年シーズンで3季連続得点王に輝き、2016年も15得点を記録した大久保嘉人(川崎フロンターレ→)は引く手あまたな中でFC東京に加入。第10節の仙台戦と第14節の清水戦で2得点を決めるなど貫禄を示した試合もあったが、チームの悪い流れに引っ張られる形で8得点に終わり、2016年得点王のピーター・ウタカ(サンフレッチェ広島→)とともに不完全燃焼のままシーズンを終えてしまった感がある。

 昇格2シーズン目で躍進を目指したジュビロ磐田に多大なる経験と攻撃のクオリティを加えたのが中村俊輔(横浜F・マリノス→)だ。J1最多直接FKゴールを24に更新するなど5得点を挙げ、8アシストと攻撃を牽引。さらに今季ブレイクした川辺駿が中村の影響力を認めれば、同じ移籍組で14得点を記録し、12月には2年ぶりに日本代表に選ばれた川又堅碁(名古屋グランパス→)も中村の厳しい要求がプレーの向上を助けたことを強調するなど、チームの底上げにも成功した。

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昇格から躍進のセレッソ大阪は…