昇格シーズンながらルヴァンカップで優勝し、J1で3位に躍進したセレッソ大阪は、外国人のマテイ・ヨニッチ(仁川ユナイテッド/韓国→)、欧州から復帰の清武弘嗣(セビージャ/スペイン→)なども目立ったが、FC東京から期限付きで加入したMF水沼宏太の頑張りが目立った。右サイドハーフを中心に攻守両面でハードワークし、高精度のチャンスメークで8アシスト。ユン・ジョンファン監督の掲げる全員攻撃・全員守備のスタイルを押し進めた。

 若手では柏レイソルに加入した小池龍太(レノファ山口→)がJ1初挑戦とは思えない安定感でチームの攻守を支えた。もともと攻撃的なポジションの選手だが、高い機動力とバランス感覚を生かしたディフェンスは守備組織にサイドからインテンシティをもたらした。川崎から鳥栖に期限付きで加入したMF原川力はチームのプレーメーカーとして攻撃の質を高めただけでなく直接FKなどセットプレーの良質なキッカーとしても確かな存在感を発揮した。

 長くエースをつとめた佐藤寿人がJ2の名古屋グランパスに移籍したサンフレッチェ広島はMLSのバンクーバー・ホワイトキャップス(カナダ)で活躍した工藤壮人を獲得。エースとして期待された工藤は開幕戦で511日ぶりのJリーグでのゴールを決めたものの、そこから2得点しか加えられず、まさかの残留争いに巻き込まれた広島の大きな誤算のひとつだった。一方の佐藤も名古屋で28 試合5得点と獅子奮迅の働きはできなかったが、第40節のファジアーノ岡山戦では絶妙の飛び出しから決勝点をアシストするなど、要所でさすがの働きでJ1昇格に貢献した。

 J2では湘南ベルマーレに加入した23歳のMF秋野央樹(柏レイソル→)が流動的なスタイルに素早くフィットし、正確なキックで違いを生み出したのは印象的だった。古巣の名古屋グランパスを退団し、京都サンガに活躍の場を移した田中マルクス闘莉王はDF登録ながらFWとしても起用され、第8節の愛媛FC戦ではJ2最年長のハットトリック。クラブを昇格に導くことはできなかったが大きなインパクトだった。

 J3優勝のブラウブリッツ秋田は、DF有薗真吾(町田ゼルビア→)、MF古田寛幸(ツエーゲン金沢→)など攻守にバランスの取れた補強が実を結んだ。2位の栃木SCも新外国人編で取り上げたGKジョニー・レオーニ(AC長野パルセイロ→)に加え途中加入でチームの前線に君臨したFWネイツ・ペチュニク(大宮アルディージャ→)という“助っ人”に加え、中盤ながら7得点を記録したMF牛之濱拓(グルージャ盛岡→)などの頑張りも大きかった。なお秋田はクラブライセンスの関係上、J2に昇格できない。(文・河治良幸)

※(クラブ名→)という表記は前所属クラブを示しています。