第2ステップは「事実通知」。冒頭は、面談の目的をストレートに伝えることが肝心だ。「ところで今日来てもらったのは、君の普段の行動で改善してほしいと思っていることがあるからなんだ。一緒に話し合って改善策を考えていこう」といったフレーズがお手本になる。ここで相手を傷つけたくないと回りくどい言い方をしてしまうと、部下からすれば「あの面談はいったいなんだったの?」ともなりかねない。

 続いて事前に集めたSBI情報を元に、部下の問題行動を指摘していく。ポイントは「主観を交えず、鏡のように客観的に」だと、中原氏は話す。先ほどのSBI情報の例を使って説明すれば、「ここ半年の営業実績の件だけど、俺は残念に思っている」「アポイント件数が1日平均10件に達していないなんて、ありえないでしょ」「営業実績が前年比4割下がってしまっている。いったいどうしてくれるんだ!」などと主観を交えて指摘してしまっては、伝わるものも伝わらなくなってしまう。

 鏡のような指摘の実践に効果的なフレーズが、「(あなたの行動は)〇〇のように見える」だ。頭ごなしに決めつけるのではなく、「私にはあなたの△△な行動が〇〇に見えるのだけど、どう思う?」と問いかける。すると部下には、「なるほど上司からはそう見えていたのか。でも自分はこんなことを考えて行動していました」と、反論の余地ができる。この反論の余地を与えておくことが大事。次のコミュニーケーションへと繋がる。(五嶋正風)