所得の問題と制度の誤解を除けば、男性の育休取得を阻んでいる実質的な壁は、「職場の雰囲気」と「仕事の忙しさ」なのだろう。たしかに私の場合は、仕事の柔軟性が高いうえに、育休について職場にとても理解があったため、約半年の育休を取得できた。しかし日本全体では、子どもができた男性労働者のうち、3ヵ月以上の育休を取得した人はわずか0.1%にすぎない(2015年厚労省調査)。

 まずは、さまざまな職場で「男性の育休」への理解がもっと広がればいいなと思う。それだけでも、育休を取得したい4割の男性は、もっと取得しやすくなるのだから。

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柴田悠

柴田悠

柴田悠(しばた・はるか)/1978年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。博士(人間・環境学)。2017年5月に双子が生まれ、2018年1月まで育児休業を取得。著書に「子育て支援が日本を救う――政策効果の統計分析」(勁草書房)、「子育て支援と経済成長」(朝日新書)など。社会政策学会学会賞受賞

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