泉:強気で考えてみましょう。築140年の日本家屋に泊まれる権利。これは高級ホテルにもまねできないブランドです。1万円、いや、2万円でも安いでしょう。家族で泊まれば、ホテルよりかかりませんから。

相談者(妻):すごい! 2万円も?

泉:価値に対して安くしすぎるとブランディングに失敗します。それに、価格をむ
やみに下げると客の質まで下がります。宿泊体験を大切にして、ご両親とのコミュ
ニケーションも楽しんでくれるような、素敵なお客さんを呼びたいなら、ある程度
価格を上げたほうがいいでしょう。

相談者(夫):なるほど。

泉:ご両親は、旅行者とのコミュニケーションに関しては大丈夫そうですか? たとえば、台所を開放して一緒に使うことも可能でしょうか。

相談者(夫):好きだと思います。英語は話せませんが、宿泊者向けのマニュアルを書いてあげるといったサポートは僕たちでできそうです。

泉:では、滞在型の宿泊が提案できますね。1組あたり5泊程度が月2回とか。とすると、普通シナリオで月10泊、月20万円の収入になります。年間売り上げは240万円。ワーストシナリオはその半分で年120万円。ベストシナリオは年480万円です。

相談者(夫):ただ、農業が忙しい時期は対応できないので、実際に稼働できるのは半年程度かなと思います。

泉:でしたら、それぞれ半分の金額となって、普通シナリオで年120万円ですね。ここから算出して、投資の上限は「×3年」の360万円。結構かけられますね。ワーストシナリオに基づいての保守的試算でも180万円までオーケーです。宿泊スペースに限定したカギの設置やバスルームの改修などをするには十分な金額ではないでしょうか。

相談者(妻):私好みの、夢のお風呂を作ってもらいたいなぁ!

泉:予算オーバーにならないように気をつけてくださいね(笑)。ちなみに、長野の場合は売り上げの金額が高いので、税金の支払いもまとまった額になってきます。税金の支払いをあらかじめキャッシュフローに組み込んでおくことが重要です。会社員が副業・起業にチャレンジするときにありがちな失敗が、「税金の見落とし」によるキャッシュフローの破綻なのです。税金は、売り上げから経費を引いた所得に30%かかるものと覚えておいてください。

相談者(夫):30%もかかるんですね。

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