錦織圭も負傷…「ケガ人続出」プロテニス界を覆う“ブラック体質” (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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錦織圭も負傷…「ケガ人続出」プロテニス界を覆う“ブラック体質”

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内田暁dot.

錦織圭のケガも過密日程の影響か(写真:Getty Images)

錦織圭のケガも過密日程の影響か(写真:Getty Images)

 アンディ・マリー、スタン・バブリンカ、ノバク・ジョコビッチ、錦織圭、そしてミロシュ・ラオニッチ――。これら綺羅星のごとく並ぶテニス界のスターの名は、現在ニューヨークで開催中の全米オープン欠場リストの上位である。ランキング上位11人のうち、実に5名がケガで参戦不可能に。マリーは臀部、バブリンカはひざ、ジョコビッチはひじで、錦織とラオニッチは手首というのが、それぞれの負傷箇所である。

 テニスのシーズンは1月に始まり、終わるのは11月。その約11カ月の間に多くの選手たちは、20から25のトーナメントに参戦する。トーナメントの多くで開催期間は1週間だが、年間4大会のグランドスラムや一部のマスターズ大会は、2週間の長期にわたる。つまり選手たちは年間30週前後は大会に身を置き、その間は毎日のように、数時間に及ぶ試合を一人で戦うのが常だ。またトーナメントという大会型式の性質上、上位選手ほど試合数もかさむ。例えば、昨シーズンを1位で終えたマリーは87試合、2位のジョコビッチは74試合、5位の錦織も79試合を戦っている。

 選手たちが、なぜそこまで過酷なスケジュールで世界中を転戦するのかと言えば、そこには上位勢に課される「出場義務」が関わってくる。新シーズンをランキング30位内で迎えた選手には、年間4大会のグランドスラムに加え、モンテカルロを除くマスターズ8大会、4つのATP500大会への出場が半ば義務付けられており、さらにATP500のうち一つは全米オープン後と定められている。結果として選手たちは、疲労や多少の痛みを覚えながらも戦い続けていくしかないのが現状だ。

 また、今回のジョコビッチや錦織に見られるように、ひじや手首……特に手首のケガは、近年増加傾向にあるという。学術誌『Sports Medicine』の報告によれば、その転換期は80年台から90年台にかけて、ラケットの素材が木からグラスファイバーに変わったことが一つの引き金になった。同誌内でニール・ジャヤンティ医師は、「ラケットが重い木製の時代は、選手は直線的に押し出すようにスイングした。しかし素材が軽くなったことで、トップスピンを多用するようになった。このことが、手首のケガの増加につながっている」と説明する。また、「高速化の一途を辿るラリーに対応するため、身体を正面に向けたままのオープンスタンスで打つ機会が多くなったのも、ひじや手首への負担が増えた要因」とし、テニス選手のケガと言えば以前は肩が多かったが、このような競技の性質の変遷に伴い、より小さな筋肉や関節への負荷が大きくなっていったという。


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