ホルへ・モリーナはスペイン人には珍しいポストプレーヤータイプのCFで、昨シーズンのヘタフェの攻撃はこの35歳のベテランFWを基点としている。アトレティコ・マドリードとのテストマッチではお互いのパスからシュートを放つ場面などがすでにあり、柴崎との相性は悪くない。

 また、アマスは昨シーズン、テネリフェで柴崎とともにプレーをしていたスピードスターであり、柴崎にとってチームメートの誰よりもそのプレーを知る選手だ。プリメーラの多くのクラブが興味を示したセネガル人FWのスピードは、苦しい戦いが続くであろう昇格組のヘタフェにとって大きな武器になるが、縦一辺倒のサッカーになる可能性も十分にある。

 シーズン序盤、ヘタフェはチームの完成度だけでなく日程からも苦しい戦いを強いられることになりそうだ。大事な開幕5試合の相手はアスレチック・ビルバオ、セビージャ、レガネス、バルセロナ、セルタと昨シーズンのリーガ上位陣とマドリード近郊ダービー。そして、鹿島時代にクラブワールドカップで記録した2ゴールで柴崎の名をスペインに知らしめたレアル・マドリードとの対戦は8節に組まれている。

 ともかく、ここまでのメディアやサポーターの柴崎に対する評価は上々なものだ。スペイン通信社の「EFE」はヘタフェ特集の中でキープレーヤーとして日本人MFの名前を上げ、番記者も高い評価を与えている。サポーターも本拠地「コリセウム・アルフォンソ・ペレス」での初試合となったアトレティコ・マドリード戦でオベーションを柴崎に向けて送っていた。とはいえ、結果が伴わなければ手のひら返しで批判をするのもスペインサッカーである。テネリフェのように辛抱強く待ち続けてくれることは稀なケースであり、早い内に勝利や得点、アシストといった記録に残る結果は欲しいところだ。

 なにはともあれ、日曜日のサン・マメスで行われるアスレチック・ビルバオ戦を皮切りに、ヘタフェそして柴崎の新たな戦いが始まる。(文・山本孔一)