阪神・江夏豊は9連続奪三振記録をつくった  (c)朝日新聞社
阪神・江夏豊は9連続奪三振記録をつくった  (c)朝日新聞社
2014年に球宴最速を記録した日本ハム・大谷翔平(c)朝日新聞社
2014年に球宴最速を記録した日本ハム・大谷翔平(c)朝日新聞社

 2リーグ分立翌年の1951年にセ・リーグとパ・リーグの対抗方式で産声を上げ、今年で67回目を数えるプロ野球オールスターゲーム。今年から冠スポンサーを「マイナビ」に代えて実施される夢の球宴を前に、年代別に過去の名場面を振り返りたい。

【1970年代】江夏豊の9者連続三振

 まさに伝説だ。1971年7月17日に行われた球宴第1戦(西宮球場)。高卒5年目、23歳の江夏豊(阪神)がオールスターの舞台で快投を演じた。

 すでに最多勝、奪三振王のタイトルを獲得するなどエースの風格を漂わせる左腕は、ファン投票1位の期待を背に全セの先発マウンドに上がると、先頭の有藤通世(ロッテ)を変化球、基満男(西鉄)をストレートで、さらに3番・長池徳二(阪急)はフォークで空振り三振に仕留める好発進。続く2回も4番・江藤慎一(ロッテ)、5番・土井正博(近鉄)を空振り三振、東田正義(西鉄)は変化球で見逃し三振に仕留めると、3回は阪本敏三(阪急)を見逃し三振で仕留め、続いて岡村浩二(阪急)、最後は加藤秀司(阪急)をストレートで空振り三振。空前絶後の9者連続三振を達成した。

 9三振のうち7個が空振り三振という事実も江夏の球威を物語るもの。これで意気消沈した全パ打線は、4回以降も沈黙してノーヒットのまま敗戦。江夏は打席に入っても2回に3ランを放ち、投打に渡るワンマンショーで文句なしのMVPを手にした。

【1980年代】プロ初のK・K対決

 新たな時代の到来だった。1987年7月28日に行われた球宴第3戦(甲子園)。PL学園の2大スターとして甲子園を沸かせ、85年11月20日の運命のドラフトを経た桑田真澄(巨人)と清原和博(西武)が、プロ2年目の19歳で出場したオールスターゲームで対峙した。

 全セの先発・桑田に対し、全パの3番・清原。勝負は一瞬だった。初回1死1塁で対峙すると、桑田の投じた初球ストレートを清原が振り抜いた。打球は高々と舞い上がり、レフトスタンドへ。両手を突き上げ、何度もジャンプしながら駆け出す清原。打球の行方を見つめて息を吐いた桑田。前年のオールスター第2戦でも同点の球宴初本塁打を放ってMVPを受賞していた清原が、最初のKK対決も制して2度目のMVPを受賞した。

 両者は同年の日本シリーズでも対決し、清原擁する西武が4勝2敗で日本一に輝き、清原は試合終了を待たずに勝利の涙を流した。その後、このKKコンビが日本プロ野球を長きに渡って盛り上げることになる。

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