鈴木亮平くん、満島真之介くんとは、「川」で対決した。とくに亮平くんとの「川」の殺陣は300手くらいあって、息を合わせるのが難しかったな。撮影に3日間もかかったし。満島くんとの「川」は、俺はよける殺陣が多かったので、彼のほうが大変だったと思う。ものすごく暑い日だったしね。

――映画では、戦国時代を生きたリアルな忍者が描かれています。現代を生きる大野さんから見て、当時の忍者はどのように映りましたか?

 今とは、常識がまったく違うなあと。忍者を含めてあの時代の人は、人を人と思ってない。人を愛するとか、守るとか、そういう気持ちもほとんどない。でも、本当にそんな時代があり、そこで生きた人がいたと想像すると、すごく恐ろしいし、悲しいと思った。

――もしも、大野さんが戦国時代の忍者の里にタイムスリップしてしまったら?

 現代人のメンタルのままっていうのが、いちばん困る!(断言)

 人を殺してもなんとも思わない世界だと思うから、そこに放り込まれたら、ただただつらいだけだよ。俺の場合、もうどうにもならないと思う。毎日ビクビクして、はしっこのほうで震えているだろうね。やったらやり返すとか、そういう精神、元からないから。

 逆に、その時代に生まれちゃったとしたら、その常識しか知らないのだから、何も疑問を持たずに無門のような忍者になっていたかもしれない。

 でもさ、無門がお国と出会ったことで変わったように、何かのきっかけで人は変わり、やがてそのときの「あたりまえ」もどんどん違う「あたりまえ」に変わっていくんだ。こうして時代は変わり、現代へとつながっているんだよね。この映画にかかわらせてもらったおかげで、そんなことをよく考えるようになったな。

――大野さんは歴史好きとのこと。歴史のどんなところに魅力を感じますか?

 見たいけれど見られないところかな。前に舞台で幕末の志士・新選組の沖田総司を演じることになり、新選組の本を読んだんだ。そうしたら、あんなに有名なのに沖田総司の写真はない。この「ない」というのが魅力だよね。実際に存在していた人物を想像するのがおもしろいっていうのかな。忍者も、実像はよくわからないし、もう見られない。でも、存在していたのも事実。そうしたら想像するしかなくて、それは俺にとってとても魅力的なことなんだ。

――最後に「映画のここを見て!」というポイントを教えてください!

 一瞬だけ映る、無門の子ども時代を演じた子役の顔が、俺の子ども時代に似ているよ!

ジュニアエラ 2017年 07 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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