映画「忍びの国」で、戦国時代の伊賀忍者・無門を演じた大野智さん。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で、子どもたちのあこがれの存在・忍者を演じた感想を、たっぷり聞いたよ。

――映画の台本を読んでの第一印象を教えてください。

 正直なところ、俺はずっと「忍者はいなかったかもしれない」と思っていたんだ。でも、台本を読んで「実際にいた」ことがはっきりして、まずはその“事実”が印象深かった。あと、映画で描かれている「天正伊賀の乱(※)」が、“史実”だということも。忍者といえば、どこかに忍び込んだり、忍術を使ったりするイメージが強いけれど、天正伊賀の乱では忍者は武器を持ち、本気で武士たちと戦った。台本を初めて読んだとき、忍者がどう戦ったのか、自分はこの映画でどう戦うのかといったことをたくさん想像したよ。

――無門は、伊賀ナンバー1の忍者ながら、石原さとみさん演じる妻・お国には、まったく頭が上がりません。そんな無門をどう思いましたか?

 無門について、中村監督から最初に言われたのは「ふだんは怠け者だが、いざとなると伊賀一強い、しかし嫁にはめっぽう弱い。……大野くんにピッタリじゃん」だった。ホン(台本)読みのときも、みんなから「無門っぽい」と言われたな。でも俺、嫁いないし(笑い)。自分ではわからないけれど、いろんな人がそういうイメージを自分に持っているんだろうなってことかな。実際に無門を演じてみると、のんきな顔から真剣勝負のときの顔まで、いろいろな顔を持っている人物だと思った。演じるのは、そう簡単ではなかったよ。

 お国は、度胸があって、強くて、芯のある女性。無門は、そんなお国のことだけを思って、守ろうとする。無門を演じていても、お国へのいとおしさや優しさをあらわす部分は楽しかったよ。俺自身は、お国のように家に入れてくれないのは嫌だな。そこはさすがに怒ると思う。(笑い)

――合戦や、「川」と名づけられた一対一の接近戦など、アクションシーンの見どころがたくさんありましたが、運動神経のいい大野さんでも大変だったのでは?

 けっこう久々にやったのがワイヤーアクション。ワイヤーでつるされるので、痛かったりつらかったりするものだけれど、俺は癒やされちゃった。だって、撮影した場所が海に近かったから。クレーンでびよーんと高く跳ぶと、大好きな海、それも昔、釣りをしたことのある海が見えてさ、「懐かしいなあ」なんて楽しみを見つけながらがんばったよ。

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AERA dot.編集部
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