車内の照明の色も変えることが可能で、平時は蛍光灯のような白色で運用されるが、イベント列車として使われる時は、明かりの色まで当時のオレンジ色の電球色を再現するという。さらに、かつて銀座線が運行中、車内の照明が一時的に消え、予備灯がついていたことから、イベント時にこの仕様も再現できるようにした。

 あらゆる部分で「1000形」を再現しているが、機能性や利便性の面で問題になるところは採用しなかった。例えば、手すりをかつての真鍮製にすることも可能だったが、真鍮は長く使うと黒くくすみ、その汚れが乗客に付着する可能性があるため不採用とした。また、手すりの形状も当時の「リコ式」と呼ばれる金属バネで固定される手すりを再現することも検討されたが、安全性の面から取っ手の形状だけ復元されるにとどまった。

 銀座線では「伝統×先端の融合」という路線コンセプトを掲げているが、このコンセプトが内装に生かされている格好だ。なお、見た目以外の部分は「1000系」と同一のため、列車の乗り心地などに変わりはない。

 「1000系」の特別仕様車両は全部で2編成が投入され、1編成が1月17日以降、もう1編成が3月中旬に運用を開始する予定だ。(ライター・河嶌太郎)