来季が勝負の年となる日ハム・斎藤佑樹(c)朝日新聞社
来季が勝負の年となる日ハム・斎藤佑樹(c)朝日新聞社

 斎藤佑樹投手(日本ハム)が来季、勝負の年を迎える。

 今季は11試合に登板し、0勝1敗、防御率4.56。23回3分の2で11与四球。3年ぶりに未勝利に終わったが、制球の悪さが目立った。来年はプロ7年目、29歳となる。チームは大谷翔平(22)、有原航平(24)、高梨裕稔(25)、加藤貴之(24)ら斎藤より年下の若手投手が次々に台頭しており、同学年の吉川光夫は今季7勝を挙げているにもかかわらず、巨人へトレードとなった。常に新陳代謝を繰り返す球団だけに、斎藤も相当な覚悟と変化が求められる1年となる。

 自主トレの一挙手一投足をワイドショーが毎日生中継するなど「佑ちゃんフィーバー」が起きた2011年の入団当初とは、斎藤が置かれている状況はまったく違う。13年に入団した大谷が「二刀流」で投打ともに球界屈指の結果を残すと、実力だけでなく、人気の面でも完全に立場は逆転した。

 結果を残せば周囲の見方も変わるだろうが、1年目に6勝、2年目に開幕投手を務めるなど5勝を挙げた後は右肩関節唇損傷に苦しみ、0→2→1→0と成績は尻すぼみ。11月に行われた外国特派員協会の会見では、栗山英樹監督が「選手を育てていくということですが、斎藤佑樹投手はなぜダメなんですか?」という質問を浴びる始末だった。

 アマチュア時代に投げていた、140キロ台後半の直球が取り戻せない。ならば制球を磨く必要があるが、それにはフォームの改造が求められるだろう。現在は踏み込みが浅い「突っ立ち投げ」。外国人投手なら広背筋の強さでリカバリーできるのだろうが、斎藤は球持ちが悪く、球威不足につながっている。リリース時に頭が一塁側に倒れてしまうため、制球が安定しない。肩の故障や股関節の柔軟性不足も影響しているかもしれないが、数々の大舞台を経験してきた持ち前の投球術を生かすにも、一定水準以上の制球力と球威は欠かせない。

 来季は背番号を「18」から、高校、大学2、3年時につけていた「1」に変更することになった。陽岱鋼外野手の巨人移籍で番号が空いたのだが、全国優勝を果たしていた時代の番号は発奮材料にはなる。

 プロ野球は、人気や「いつか復活するだろう」といった期待だけでは、いつまでも籍を置ける世界ではない。輝かしい戦績を残したアマチュア時代を、取材者として知る栗山監督の期待度は高いが、昨年はポルシェ貸与で週刊誌を騒がせる一幕もあった。崖っぷちから脱するには、もうマウンドで結果を出すしかない。