バレー女子日本代表監督の中田久美に高まる期待 選手を惹きつけるカリスマ性と“もう一つの武器”

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 10月26日、男女バレーボール日本代表を率いる新監督が発表された。

 男子はかつてスーパーエースとして君臨し、指導者として堺ブレイザーズを日本一に導いた中垣内祐一氏、女子は日本の司令塔として活躍した天才セッター、指導者としては久光製薬を率いてVプレミアリーグ、天皇皇后杯など数多くのタイトルを獲得した中田久美氏が就任した。

 両者とも、選手時代には世界と戦ってきた経験は今更語るまでもないが、指導者として世界と対峙(たいじ)するのは初めて。中田監督は、久光製薬で世界クラブ選手権に三度出場しているが、10月に開催された本年度は監督就任が発表される2日前に帰国、6位という成績を「心が折れて帰って来た」と言うように、表彰台にはあと一歩、届かずにいる。

 当面の期間は2年だと言うが、当然ながらその先にある2020年の東京五輪を視野に入れた監督就任であるのは周知の通り。中垣内、中田両監督が世界とどう渡り合うのか。その手腕に、多くの注目が集まっている。

「久美さんって、すごい選手だったんですか?」

 聞いているこちらが一瞬耳を疑うようなセリフを、高校生たちは全く臆さず口にする。今から5年前、2011年にトルコ・アンカラで開催された女子ユース(U-17)世界選手権でのことだった。

 食事の席ではいつも、他愛もない話で盛り上がり、その中心にはいつも中田監督がいた。16歳、17歳の選手たちは現役時代を直接見たことはないが、その後も解説者としてバレーボール中継を見れば中田監督の姿がある。親や、それぞれの高校の指導者からも、その前年にユース代表コーチとなった中田監督の現役時代については聞いたことがある、という選手ばかり。

 だが、聞くばかりで見たことはない。練習中も、試合の最中も、ささいな疑問を投げかければ丁寧に答えてくれて、コートを離れれば優しく冗談交じりで接してくれる中田監督の姿が、高校生にとってはすべてで、ごく自然に、ある意味怖いもの知らずに冒頭の質問をしてのけた。

 その答えは、実にあっさりしたものだった。

「すごかったよ~。見せてあげたいね。びっくりするよ」

 屈託なく、「そうなんだ」と目を輝かせる選手たちと一緒に笑う。口数の少ない選手がいればさりげなく気を配り、試合で途中交代した選手や、ケガで試合に出場できなくなってしまった選手には移動中や、試合後のホテルで声をかけ、最後は「大丈夫だからね」と背中を押す。夜通し自チームと、対戦相手のデータや映像を見て、寝る時間はほとんどなくてもそんな素振りなど少しも見せずに若い選手たちと接していた。

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