東京五輪での活躍が期待される大門千紗選手(日本ボート協会提供)
東京五輪での活躍が期待される大門千紗選手(日本ボート協会提供)

 リオ五輪で日本選手団は、金12個、銀8個、銅21個とメダルラッシュに沸いた。感動の余韻が冷めやらぬ中、耳寄りな情報をゲットした。日本ボート協会が「2020年東京五輪でメダル獲得を目指すボート競技選手を募集します!」とのこと。まだ間に合うのか? どんな人材なら可能性があるのか? 同協会の「タレント発掘事業」について担当者に聞いてみた。 

 リオ五輪で日本は、男女各2選手を軽量級ダブルスカルに派遣、男子15位、女子は12位に終わっている。「世界の壁は、まだまだ厚い」というのが現状である。しかし、今回の日本代表の中には、競技を始めてごく短い期間で五輪切符をつかんだ選手がいた。日本ボート協会タレント発掘委員会プロジェクトマネージャーの森山修さんは「圧倒的なフィジカルがあれば、2~3年で世界の頂点を目指せる可能性があるのも競技の魅力です」という。

「ボートは競技の盛んな地域で育ったり、身内に経験者がいたりしない限り、なかなか始める機会はありません。一方、上級のフィジカルを備えた選手は野球、サッカーなど競技人口が多い球技などに集まってしまっている。優秀な人材をピックアップし、指導者とマッチングする仕組みが必要です」(森山さん)

 というわけで、日本ボート協会は2014年秋に、他競技からの転身組を「タレント発掘・一貫指導育成事業」として発掘・育成・強化する取り組みをスタートした。リオ五輪を終え、公募は締め切ったかと思いきや、今後も継続するとのこと。森山さんは、「発掘・育成する仕組みを確立させ、東京五輪後も充実させていきたい」と話す。

 タレントを選考するシステムはこうだ。第一次選考はレーニング機器の「ワットバイク」による測定。常設してある施設などの協力を得て、心肺機能や筋持久力などをチェックする。フィットネステストの第二次選考を経て、“ほぼ当確”となった選手は、育成合宿などでボートを漕ぐ動作を習得し、第三次選考の実技テストを受ける。

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