大花壇の開花をコントロールする、公益財団法人「砺波市花と緑と文化の財団」の水木努さん
大花壇の開花をコントロールする、公益財団法人「砺波市花と緑と文化の財団」の水木努さん
フェアのシンボル、チューリップタワー(提供・砺波市花と緑と文化の財団)※写真は今年のものではありません
フェアのシンボル、チューリップタワー(提供・砺波市花と緑と文化の財団)※写真は今年のものではありません
多彩な品種が並ぶ大花壇(提供・砺波市花と緑と文化の財団)※写真は今年のものではありません
多彩な品種が並ぶ大花壇(提供・砺波市花と緑と文化の財団)※写真は今年のものではありません

 4月下旬からゴールデンウイーク(GW)末日まで、富山県砺波市で「となみチューリップフェア」が開催される。700品種、300万本が咲きそろう同フェア。チューリップを集めた催しとしては、国内最大級の規模だ。しかし、身近なチューリップは、すでに花が開き切っているもの多数……。通常、本州では早咲きの品種が3月下旬から開花し、遅咲きでも4月いっぱいで、終わってしまう。5月以降も咲かせるワザとは? 

 フェアの会期中、会場となる砺波チューリップ公園の中央を彩るのは、2500平方メートルもある大花壇だ。毎年、十数品種、約20万本のチューリップを使って地上絵が描かれる。チューリップタワーと並ぶ、フェアのシンボル的な存在である。今年は例年より多い22万本が植えられている。

 大花壇を管理するのが、公益財団法人「砺波市花と緑と文化の財団」の水木努さん(36)。同フェア成功のキーマンといえよう。造園の専門学校を卒業後、同財団に就職、大花壇の担当として6年目の春を迎えた。本場・オランダの庭園へ視察に出向いたり、休日は全国のフラワーガーデンに足を運んだりして、情報やノウハウを積み上げてきた“熱血庭師”だ。水木さんは、開花の時期をコントロールする重要な役割を担っている。

「1年中、頭のどこかでチューリップのことを考えてしまっています。地球温暖化の影響から、開花を遅らせるのは毎年のこと。自然に逆らって、ずっとブレーキを踏み続けているようなものです。どれだけ遅らせるかの加減が難しい」(水木さん)

 会期中に開花させるには、主に三つの方法がある。まずは球根の選定に際し、遅咲きの品種の割合を増やす。次に、遮光ネットをかぶせて生育を抑制する。さらには、標高の高い場所で育てたチューリップを会場に持ってくる。これらを組み合わせて、気候の変化をにらみながら開幕に照準を合わせる。4月29日、30日前後に咲きそろっているのが理想的だ。

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